放課後デイサービス、なくてはならない制度であるけれど、その質をいかに担保していくか考えて行く必要があると思います。
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https://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/317220
障害児の放課後デイサービスに課題 連日利用、児童に負担感も
2017年03月26日 06時00分
障害児の放課後の居場所として国が2012年度に創設した放課後等デイサービスを巡り、国は4月から事業所スタッフの資格要件を厳しくする。民間の指定事業所の急増に伴い、支援の質が一部で低下しているのが理由。一方、送迎サービスが付いて利用料の自己負担が軽いこともあって、連日夕方遅くまで預けられる例もみられ、教育現場などからは「行き過ぎた利用は、障害児の負担になる」との懸念が聞かれる。
4月から職員資格厳格化
特別支援学校などの児童生徒が下校後に集う福岡市西区の放課後等デイサービス「egg」。16日は、16人が職員6人と手芸やコマ遊びなどを楽しんだ。
放課後デイでは管理責任者を除きスタッフに資格要件の定めはなく、「テレビを見せるだけなど不適切な例がある」として4月から厳しくなる。egg運営会社の米原秀紀代表は「現状で新たな要件をクリアできている事業所は少ないのでは。保育士など資格を持つ人材の奪い合いが今後予測される」とみる。
放課後デイは全国で急増。福岡市では1日現在で139カ所を数える。同市こども発達支援課は2月、基準見直しを事業所に通知。山田哲也課長は「意思疎通の難しさなど障害児と向き合うには専門性が必要。従来の基準が甘すぎた」と語るが、突然の見直しに事業所側に戸惑いも広がる。
一方、利用急増で思わぬ影響も出ている。同市西区の生の松原特別支援学校。下校時前の運動場に児童生徒を迎える事業所の車が待機する。その数約40台。こうした光景は各地で見られる。福岡市立の支援学校7校では中学・高等部を含む児童生徒の約7割が放課後デイを利用。利用日数の上限を市は原則「月に25日」と定めるが、月26日以上の利用者が7%を占める。
同校小学部では100人のうち9割超が利用。校長は「月曜から土曜まで毎日利用する子も多い。帰宅は6時ごろ。疲れが見え、行きたがらない子もいる」。別の支援学校の校長経験者は「高等部は自主通学が原則だが、送迎車に自宅まで送られ、生徒の公共交通機関を使う能力が落ちている」と危惧(きぐ)する。
北九州市では利用日数の上限を、国に準じ原則「各月の日数マイナス8日」と定める。保護者の依頼で障害児25人の利用計画を作成する相談支援専門員の安武和幸さん(30)によると、上限いっぱいの利用を望む例が多いという。「親の仕事や息抜きも大切だが、本人の成長や発達にマイナスにならないことが前提。その点は嫌な顔をされても伝えています」と語る。
子どもの負担、考え利用を
知的障害児と親でつくる「福岡市手をつなぐ育成会保護者会幼児・学齢部会」の本山悦子部会長の話 放課後デイは仕事を持つ親はもちろん、障害児以外の家族の世話や家事などに忙しい親にとっても、なくてはならない制度。週4日ほど利用する小5の息子は喜んで通い、友人との関わりなど成長にも役立っている。大切なのは、事業所の支援内容に関心を持ち(第三者の専門家である)相談支援専門員の意見を聞きながら、子どもの負担にならない利用をすることだと思う。
◆放課後等デイサービス 児童福祉法に基づき、障害児の発達支援や居場所づくりを目的に放課後や春休みなどに預かる民間施設。国は4月から施設職員(子ども10人に2人以上)について、社会福祉士の資格などを持つ児童指導員、保育士、障害福祉経験者の配置を条件とし、その半数以上を児童指導員か保育士とする基準を設ける。猶予期間は1年。利用者が個別に事業所と契約し、定員10人以下の施設で平日放課後に1人を預かると各種加算を含めて1日9千~1万円ほどが事業所に支払われる。9割が公費、1割が利用者負担だが上限は一般世帯で月額4600円。
=2017/03/26付 西日本新聞朝刊=
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https://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/317220
障害児の放課後デイサービスに課題 連日利用、児童に負担感も
2017年03月26日 06時00分
障害児の放課後の居場所として国が2012年度に創設した放課後等デイサービスを巡り、国は4月から事業所スタッフの資格要件を厳しくする。民間の指定事業所の急増に伴い、支援の質が一部で低下しているのが理由。一方、送迎サービスが付いて利用料の自己負担が軽いこともあって、連日夕方遅くまで預けられる例もみられ、教育現場などからは「行き過ぎた利用は、障害児の負担になる」との懸念が聞かれる。
4月から職員資格厳格化
特別支援学校などの児童生徒が下校後に集う福岡市西区の放課後等デイサービス「egg」。16日は、16人が職員6人と手芸やコマ遊びなどを楽しんだ。
放課後デイでは管理責任者を除きスタッフに資格要件の定めはなく、「テレビを見せるだけなど不適切な例がある」として4月から厳しくなる。egg運営会社の米原秀紀代表は「現状で新たな要件をクリアできている事業所は少ないのでは。保育士など資格を持つ人材の奪い合いが今後予測される」とみる。
放課後デイは全国で急増。福岡市では1日現在で139カ所を数える。同市こども発達支援課は2月、基準見直しを事業所に通知。山田哲也課長は「意思疎通の難しさなど障害児と向き合うには専門性が必要。従来の基準が甘すぎた」と語るが、突然の見直しに事業所側に戸惑いも広がる。
一方、利用急増で思わぬ影響も出ている。同市西区の生の松原特別支援学校。下校時前の運動場に児童生徒を迎える事業所の車が待機する。その数約40台。こうした光景は各地で見られる。福岡市立の支援学校7校では中学・高等部を含む児童生徒の約7割が放課後デイを利用。利用日数の上限を市は原則「月に25日」と定めるが、月26日以上の利用者が7%を占める。
同校小学部では100人のうち9割超が利用。校長は「月曜から土曜まで毎日利用する子も多い。帰宅は6時ごろ。疲れが見え、行きたがらない子もいる」。別の支援学校の校長経験者は「高等部は自主通学が原則だが、送迎車に自宅まで送られ、生徒の公共交通機関を使う能力が落ちている」と危惧(きぐ)する。
北九州市では利用日数の上限を、国に準じ原則「各月の日数マイナス8日」と定める。保護者の依頼で障害児25人の利用計画を作成する相談支援専門員の安武和幸さん(30)によると、上限いっぱいの利用を望む例が多いという。「親の仕事や息抜きも大切だが、本人の成長や発達にマイナスにならないことが前提。その点は嫌な顔をされても伝えています」と語る。
子どもの負担、考え利用を
知的障害児と親でつくる「福岡市手をつなぐ育成会保護者会幼児・学齢部会」の本山悦子部会長の話 放課後デイは仕事を持つ親はもちろん、障害児以外の家族の世話や家事などに忙しい親にとっても、なくてはならない制度。週4日ほど利用する小5の息子は喜んで通い、友人との関わりなど成長にも役立っている。大切なのは、事業所の支援内容に関心を持ち(第三者の専門家である)相談支援専門員の意見を聞きながら、子どもの負担にならない利用をすることだと思う。
◆放課後等デイサービス 児童福祉法に基づき、障害児の発達支援や居場所づくりを目的に放課後や春休みなどに預かる民間施設。国は4月から施設職員(子ども10人に2人以上)について、社会福祉士の資格などを持つ児童指導員、保育士、障害福祉経験者の配置を条件とし、その半数以上を児童指導員か保育士とする基準を設ける。猶予期間は1年。利用者が個別に事業所と契約し、定員10人以下の施設で平日放課後に1人を預かると各種加算を含めて1日9千~1万円ほどが事業所に支払われる。9割が公費、1割が利用者負担だが上限は一般世帯で月額4600円。
=2017/03/26付 西日本新聞朝刊=