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組織的犯罪処罰法改正案「テロ等準備罪」=「共謀罪」の危険性。憲法31条『明確性』の原則に反し無効

2017-03-22 23:00:00 | シチズンシップ教育
 政府は21日、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案を閣議決定し、衆院に提出した。


 共謀罪の危険性について、刑事法学専門の内田博文・神戸学院大学教授が、インタビュー記事に応えてられます。

 万が一、成立しても、憲法31条で謳われる『明確性』の原則に反し無効であるという考え方も示されています。


**********朝日新聞20170322*******

 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案が21日、国会に提出された。近年進められた国の権限を強める法整備は、戦時体制を強めていった動きに似ていると指摘される。近代の刑法史に詳しい内田博文・神戸学院大学教授に聞いた。


 ――過去3回、国会で廃案になった「共謀罪」の構成要件を変えた法案が国会に提出されました。

 「共謀罪はじめ近年の法整備などの動きは、戦前をほうふつさせます。国の安全保障に関する情報漏れを防ぐ特定秘密保護法が2013年に成立、14年には集団的自衛権行使を容認する閣議決定がされ、15年には自衛隊の海外での武力行使を可能にする安全保障関連法が成立しました。この流れの中に、共謀罪の制定があります。戦時体制を支えた、左翼思想を取り締まる治安維持法、軍事機密を守る軍機保護法や国防上の重要な情報を守る国防保安法などの戦時秘密法、すべての人的、物的資源を戦争のために使えるようにする国家総動員法、家族や民間団体を統制する戦時組織法制を整備していった戦前に重なるのです」

 (途中 略)


 ――法案が成立したら、どのように向き合うべきでしょうか。

 「憲法31条がある以上、対抗の余地はあります。共謀罪は、近代刑法の基本原則を定めた31条に反する『違憲』だと主張するのです。ある行為を犯罪として処罰するには、あらかじめ法律で、犯罪とされる行為と、それに対して科される刑罰を明確に規定しておかなければならないとする原則です。共謀罪はこの『明確性』の原則に反します。思想・信条の自由を保障した憲法19条にも抵触するおそれが強いといえます。ただ、自民党憲法改正草案のように『公益及び公の秩序に反してはならない』といった権利を限定する文言が入れば対抗は難しくなります」



内田博文・神戸学院大学教授

うちだひろふみ 1946年生まれ。専門は刑事法学。九州大学教授などを経て、2010年から現職。著書に「治安維持法の教訓」「刑法と戦争」など。


********



「共謀罪」法案の主な条文

2017年3月22日05時00分




 ※《 》内は今回設ける罪を定義している主な部分。別表は、下の「対象の法律と罪名一覧」


 ■組織的犯罪処罰法の改正法案のうち「共謀罪」に関する条文(抜粋)

(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)

 第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、《テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を2人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金または物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。》ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、または免除する。

 一 別表に掲げる罪のうち、死刑または無期もしくは長期10年を超える懲役もしくは禁錮の刑が定められているもの 5年以下の懲役または禁錮

 二 別表に掲げる罪のうち、長期4年以上10年以下の懲役または禁錮の刑が定められているもの 2年以下の懲役または禁錮


 ■対象の法律と罪名一覧

【刑法】内乱等幇助(ほうじょ)▽加重逃走▽被拘禁者奪取▽逃走援助▽騒乱▽現住建造物等放火▽非現住建造物等放火▽建造物等以外放火▽激発物破裂▽現住建造物等浸害▽非現住建造物等浸害▽往来危険▽汽車転覆等▽あへん煙輸入等▽あへん煙吸食器具輸入等▽あへん煙吸食のための場所提供▽水道汚染▽水道毒物等混入▽水道損壊及び閉塞(へいそく)▽通貨偽造及び行使等▽外国通貨偽造及び行使等▽有印公文書偽造等▽有印虚偽公文書作成等▽公正証書原本不実記載等▽偽造公文書行使等▽有印私文書偽造等▽偽造私文書等行使▽私電磁的記録不正作出及び供用▽公電磁的記録不正作出及び供用▽有価証券偽造等▽偽造有価証券行使等▽支払用カード電磁的記録不正作出等▽不正電磁的記録カード所持▽公印偽造及び不正使用等▽偽証▽強制わいせつ▽強姦(ごうかん)▽準強制わいせつ▽準強姦▽墳墓発掘死体損壊等▽収賄▽事前収賄▽第三者供賄▽加重収賄▽事後収賄▽あっせん収賄▽傷害▽未成年者略取及び誘拐▽営利目的等略取及び誘拐▽所在国外移送目的略取及び誘拐▽人身売買▽被略取者等所在国外移送▽営利拐取等幇助目的被拐取者収受▽営利被拐取者収受▽身の代金被拐取者収受等▽電子計算機損壊等業務妨害▽窃盗▽不動産侵奪▽強盗▽事後強盗▽昏酔(こんすい)強盗▽電子計算機使用詐欺▽背任▽準詐欺▽横領▽盗品有償譲受け等

【組織的犯罪処罰法】組織的な封印等破棄▽組織的な強制執行妨害目的財産損壊等▽組織的な強制執行行為妨害等▽組織的な強制執行関係売却妨害▽組織的な常習賭博▽組織的な賭博場開張等図利▽組織的な殺人▽組織的な逮捕監禁▽組織的な強要▽組織的な身の代金目的略取等▽組織的な信用毀損(きそん)・業務妨害▽組織的な威力業務妨害▽組織的な詐欺▽組織的な恐喝▽組織的な建造物等損壊▽組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等▽不法収益等による法人等の事業経営の支配を目的とする行為▽犯罪収益等隠匿

【爆発物取締罰則】製造・輸入・所持・注文▽幇助のための製造・輸入等▽製造・輸入・所持・注文(第1条の犯罪の目的でないことが証明できないとき)▽爆発物の使用、製造等の犯人の蔵匿等

【外貨偽造法】偽造等▽偽造外国流通貨幣等の輸入▽偽造外国流通貨幣等の行使等

【印紙犯罪処罰法】偽造等▽偽造印紙等の使用等

【海底電信線保護万国連合条約罰則】海底電信線の損壊

【労働基準法】強制労働

【職業安定法】暴行等による職業紹介等

【児童福祉法】児童淫行

【郵便法】切手類の偽造等

【金融商品取引法】虚偽有価証券届出書等の提出等▽内部者取引等

【大麻取締法】大麻の栽培等▽大麻の所持等▽大麻の使用等

【船員職業安定法】暴行等による船員職業紹介等

【競馬法】無資格競馬等

【自転車競技法】無資格自転車競走等

【外国為替及び外国貿易法】国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなる無許可取引等▽特定技術提供目的の無許可取引等

【電波法】電気通信業務等の用に供する無線局の無線設備の損壊等

【小型自動車競走法】無資格小型自動車競走等

【文化財保護法】重要文化財の無許可輸出▽重要文化財の損壊等▽史跡名勝天然記念物の滅失等

【地方税法】軽油等の不正製造▽軽油引取税に係る脱税

【商品先物取引法】商品市場における取引等に関する風説の流布等

【道路運送法】自動車道における自動車往来危険▽事業用自動車の転覆等

【投資信託及び投資法人に関する法律】投資主の権利の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為

【モーターボート競走法】無資格モーターボート競走等

【森林法】保安林の区域内における森林窃盗▽森林窃盗の贓物(ぞうぶつ)の運搬等▽他人の森林への放火

【覚醒剤取締法】覚醒剤の輸入等▽覚醒剤の所持等▽営利目的の覚醒剤の所持等▽覚醒剤の使用等▽営利目的の覚醒剤の使用等▽管理外覚醒剤の施用等

【出入国管理及び難民認定法】在留カード偽造等▽偽造在留カード等所持▽集団密航者を不法入国させる行為等▽営利目的の集団密航者の輸送▽集団密航者の収受等▽営利目的の難民旅行証明書等の不正受交付等▽営利目的の不法入国者等の蔵匿等

【旅券法】旅券等の不正受交付等

【日米地位協定の実施に伴う刑事特別法】偽証▽軍用物の損壊等

【麻薬及び向精神薬取締法】ジアセチルモルヒネ等の輸入等▽ジアセチルモルヒネ等の製剤等▽営利目的のジアセチルモルヒネ等の製剤等▽ジアセチルモルヒネ等の施用等▽営利目的のジアセチルモルヒネ等の施用等▽ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の輸入等▽営利目的のジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の輸入等▽ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の製剤等▽麻薬の施用等▽向精神薬の輸入等▽営利目的の向精神薬の譲渡等

【有線電気通信法】有線電気通信設備の損壊等

【武器等製造法】銃砲の無許可製造▽銃砲弾の無許可製造▽猟銃等の無許可製造

【ガス事業法】ガス工作物の損壊等

【関税法】輸出してはならない貨物の輸出▽輸入してはならない貨物の輸入▽輸入してはならない貨物の保税地域への蔵置等▽偽りにより関税を免れる行為等▽無許可輸出等▽輸出してはならない貨物の運搬等

【あへん法】けしの栽培等▽営利目的のけしの栽培等▽あへんの譲渡し等

【自衛隊法】自衛隊の所有する武器等の損壊等

【出資法】高金利の契約等▽業として行う高金利の契約等▽高保証料▽保証料がある場合の高金利等▽業として行う著しい高金利の脱法行為等

【補助金適正化法】不正の手段による補助金等の受交付等

【売春防止法】対償の収受等▽業として行う場所の提供▽売春をさせる業▽資金等の提供

【高速自動車国道法】高速自動車国道の損壊等

【水道法】水道施設の損壊等

【銃刀法】拳銃等の発射▽拳銃等の輸入▽拳銃等の所持等▽拳銃等の譲渡し等▽営利目的の拳銃等の譲渡し等▽偽りの方法による許可▽拳銃実包の輸入▽拳銃実包の所持▽拳銃実包の譲渡し等▽猟銃の所持等▽拳銃等の輸入に係る資金等の提供

【下水道法】公共下水道の施設の損壊等

【特許法】特許権等の侵害

【実用新案法】実用新案権等の侵害

【意匠法】意匠権等の侵害

【商標法】商標権等の侵害

【道路交通法】不正な信号機の操作等

【医薬品医療機器法】業として行う指定薬物の製造等

【新幹線特例法】自動列車制御設備の損壊等

【電気事業法】電気工作物の損壊等

【所得税法】偽りその他不正の行為による所得税の免脱等▽偽りその他不正の行為による所得税の免脱▽所得税の不納付

【法人税法】偽りにより法人税を免れる行為等

【海底電線等損壊行為処罰法】海底電線の損壊▽海底パイプライン等の損壊

【著作権法】著作権等の侵害等

【ハイジャック防止法】航空機の強取等▽航空機の運航阻害

【廃棄物処理法】無許可廃棄物処理業等

【火炎瓶処罰法】火炎瓶の使用

【熱供給事業法】熱供給施設の損壊等

【航空危険行為処罰法】航空危険▽航行中の航空機を墜落させる行為等▽業務中の航空機の破壊等▽業務中の航空機内への爆発物等の持込み

【人質強要処罰法】人質による強要等▽加重人質強要

【生物兵器禁止法】生物兵器等の使用▽生物剤等の発散▽生物兵器等の製造▽生物兵器等の所持等

【貸金業法】無登録営業等

【労働者派遣法】有害業務目的の労働者派遣

【流通食品毒物混入防止法】流通食品への毒物の混入等

【消費税法】偽りにより消費税を免れる行為等

【出入国管理特例法】特別永住者証明書の偽造等▽偽造特別永住者証明書等の所持

【麻薬特例法】薬物犯罪収益等隠匿

【種の保存法】国内希少野生動植物種の捕獲等

【不正競争防止法】営業秘密侵害等▽不正競争等

【化学兵器禁止法】化学兵器の使用▽毒性物質等の発散▽化学兵器の製造▽化学兵器の所持等▽毒性物質等の製造等

【サリン人身被害防止法】サリン等の発散▽サリン等の製造等

【保険業法】株主等の権利の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為

【臓器移植法】臓器売買等

【スポーツ振興投票法】無資格スポーツ振興投票

【種苗法】育成者権等の侵害

【資産流動化法】社員等の権利等の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為

【感染症予防法】一種病原体等の発散▽一種病原体等の輸入▽一種病原体等の所持等▽二種病原体等の輸入

【対人地雷禁止法】対人地雷の製造▽対人地雷の所持

【児童買春・児童ポルノ禁止法】児童買春周旋▽児童買春勧誘▽児童ポルノ等の不特定又は多数の者に対する提供等

【民事再生法】詐欺再生▽特定の債権者に対する担保の供与等

【公衆等脅迫目的犯罪資金処罰法】公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者による資金等を提供させる行為▽公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者以外の者による資金等の提供等

【公的個人認証法】不実の署名用電子証明書等を発行させる行為

【会社更生法】詐欺更生▽特定の債権者等に対する担保の供与等

【破産法】詐欺破産▽特定の債権者に対する担保の供与等

【会社法】会社財産を危うくする行為▽虚偽文書行使等▽預合い▽株式の超過発行▽株主等の権利の行使に関する贈収賄▽株主等の権利の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為

【国際刑事裁判協力法】組織的な犯罪に係る証拠隠滅等▽偽証

【放射線発散処罰法】放射線の発散等▽原子核分裂等装置の製造▽原子核分裂等装置の所持等▽特定核燃料物質の輸出入▽放射性物質等の使用の告知による脅迫▽特定核燃料物質の窃取等の告知による強要

【海賊対処法】海賊行為

【クラスター弾禁止法】クラスター弾等の製造▽クラスター弾等の所持

【放射性物質汚染対処特別措置法】汚染廃棄物等の投棄等


以上
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再開発において、保留床が思うように処分できない場合に、組合員から不足分を賦課金として徴収できる根拠(都市再開発法39条1項)

2017-03-22 23:00:00 | 街づくり
 最近では、超高層再開発において、保留床が予定通りに処分できず、不足分を各地権者に徴収をし、争いになったケースが出てきています。(岡山地方裁判所H17.1.11)

 オリンピック後の景気の悪化を考慮すると、これからの超高層再開発においては、土地を計画に差し出しておきながら、さらに、足りない分のお金の徴収が起こりえるというこのリスクも参加組合員にきちんと説明をする必要があると考えます。
 

 なお、不足分を徴収できる根拠条文は、以下。

都市再開発法

(経費の賦課徴収)
第三十九条  組合は、その事業に要する経費に充てるため、賦課金として参加組合員以外の組合員に対して金銭を賦課徴収することができる
2  賦課金の額は、組合員が施行地区内に有する宅地又は借地の位置、地積等を考慮して公平に定めなければならない。
3  組合員は、賦課金の納付について、相殺をもつて組合に対抗することができない。
4  組合は、組合員が賦課金の納付を怠つたときは、定款で定めるところにより、その組合員に対して過怠金を課することができる。
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