「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

「中央区公共施設等総合管理方針」素案へのパブリックコメント

2017-03-06 18:08:15 | 公約2015

 本日、「中央区公共施設等総合管理方針」素案へのパブリックコメントの〆切に当たり、以下のパブリックコメントを、中央区に届けました。


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「中央区公共施設等総合管理方針」素案へのパブリックコメント

氏名 小坂和輝(50歳)

住所 中央区月島3-30-3-2階~4階

電話03-5547-1191

 

 重要な管理方針策定に当たり、パブリックコメントを致します。

 よろしくご検討の程、お願い申し上げます。

 

第1、重大な問題点の改善の要望

1、主要施設の「個別施設計画」について(104頁)

 素案であるので、書かれなかったのかもしれないが、「中央区公共施設等総合管理方針」(以下、「方針」という。)に記載されたその内容は、いわば総論のみとなっている。

 104頁に、「個別施設計画」の検討とあるが、それぞれの施設に対する、個別の考え方を、大まかにでも記載をするべきである。

 少なくとも、「本庁舎」や「月島/日本橋出張所」については、区の中枢の施設であって、「個別施設計画」の記載を求める

 

2、今後、必要となる施設について

 今後、必要となる施設が、何があるかが、見えてこなかった

 例えば、少なくとも児童相談所が必要となる。

 晴海地区の部分は、将来的な施設の記載があるが、区の施策の今後の方向性を見据えて、将来必要となる施設には、どのようなものがあるのかを、具体的に記載することを求める。

 

3、新基本構想との関連(3頁)

 新基本構想が本年6月に策定されることになるのであるから、その策定された新基本構想の内容をきちんと反映した方針とすべきと考える。

 従って、方針策定を、平成29年3月とするのではなく、新基本構想の策定をまち、本年6月以降の策定にするとともに、実際に、新基本構想の内容をどのように生かしているかを記載いただきたい。

 

4、施設整備の際の検討の優先順位(87頁)

 施設整備の際の検討の優先順位が、まず「民間整備」とあるのは、残念に思う。

 「民間整備」が有効な施設もあることを否定はしないが、施設の性格によっては、まず、「区による自主整備」が好ましい施設もあるはずである。

 どのような施設を「民間整備」の対象として進めるのか、または、必ず「区による自主整備」をすべき施設としてどのような施設を対象とするかの住み分けをまず、記載をすべきであると考える。

 それとも、本当に、すべての施設の整備の優先順位の検討を、「民間整備」と考えているのなら、その理由の記載をお願いする。

 

5、環境配慮技術の導入(98頁)

 環境配慮と施設整備は、切り離せない関係にある。

 よって、環境配慮の取り組みを強化する意味でも、環境配慮の項目を、「基本方針2 安全・安心を維持する計画的な管理運営」の一つとして計画をするのではなく、例えば、「基本方針 環境に配慮した施設整備と省エネによる施設管理コスト削減」のような項目名で基本方針の一つとして格上げをし、記載することを強く要望する。

 中央区では、「中央区役所温室効果ガス排出抑制実行計画」(平成28年3月改定)と、「中央区施設管理マニュアル(平成27年4月)」があるのであるから、それとの連動による記載の充実を求める。

 

6、目標耐用年数100年を目指すべきこと(95頁)

 目標耐用年数は、高品質の建材を用いることで、普通の品質ならば60年とするところを、100として、結果的に将来の建て替えに伴う財政出動を減らす考え方を取るべきであると考えるが、中央区は、目標耐用年数を極力伸ばす考え方はあるか?

 

7、将来改修・更新費用と財源の見通しやその微調整・修正の方法について

 投資的経費として基金15億円、単年度支出73億円の合計88億円を支出できてきたところであり、今後の改修・更新費用年平均64.1億円であり、基金なしの単年度支出実績から8.9億円の余裕があるということである(76頁)。

 しかし、予測通りに費用が少なく平準化されるかどうかや、財源確保が順調に進むかどうかは、未知のところもあり、毎年毎年の見直しが必要であると考える。

 その見直しや、見直しの結果としての微調整や修正をどのように検討をしていくのか、もう少し詳述いただきたい。

 

第2、内容面についての修正の要望

1、借家である区の施設の家賃

 借家である区の施設の家賃が適正なものであるか、随時点検を行うことについての記載をお願いする。

2、用途別利用状況(表4-3)を見て

 稼働率が悪い施設が散見される。今、喫緊の課題である保育施設への転用の可能性の検討を、方針策定とは別に、急ぐべきであると考える。

 

3、図4-12 利用したことがない理由(66頁)を見て

 利用したことがない理由に、「利用方法が分からない」との回答が多くある施設がある。スポーツ施設、文化・学習施設、地域・集会施設など区民に有効な施設であるのに、とても残念である。

 施設の利用方法を周知していくことについて、その情報発信に関する記載をいれるべきであると考える。

 

4、施設の耐震性(95頁)

 建物の非構造部材の耐震化も、子ども達の生命安全を守り、また、災害時の防災拠点となる学校では、特に、重要である。

 全学校の建物自体の耐震化だけではなく、非構造部材の耐震化の現状を、もう少し詳述し、早急に対策をとることを要望する。

 

5、公共施設整備関連基金の確保(102頁)

 「中長期的な需要を見据えた計画的な基金管理」とは、具体的にどうすることかの記載の充実をお願いする。

 

6、施設データの把握および利活用(102頁)

 学校の改築などで、地下埋設物があり、補正予算で、建築費などの増額を行った経験を中央区は何度もしている。

 建築工事見積もり段階で、きちんと地下埋設物の状況もわかる参考になる施設情報の一元管理を、大いに期待する。

 その一元管理の具体的な方法の記載もお願いする。

 

7、施設建設計画委員会(103頁)

 具体的にどのような構成の委員会を考えるのか、その内容の記載をお願いする。

 また、そのような委員会には、必ず学術経験者を入れることを強く要望する。

 

第3、形式面についての修正の要望

1、製本に至っていないため、欠けているのだとは思うが、発行日や方針作成に関わったコンサルタント名などを記載した裏書(105頁)の掲載をお願いする。

 

2、略語に対する説明

 例えば、「区有建物一覧」(14~24頁)において、構造で、SRC造、RC造、S造など略号が使われている。表の末尾に、その略語の意味の記載をお願いする。

 

3、表2-7「区管理橋りょう」(34頁)で、区民文化財指定された橋りょうには、その指定されたことを備考に記載をお願いする。

他にもそのような文化財指定があれば、その旨の記載を、本文だけではなく、表にも記載をお願いする。

 

4、図3-1 本区の基盤面の分布(45頁)は、本区にとっても重要な情報であり、都心の分布図だけではなく、本区部分を拡大した図を掲載するべきと考える。

 

5、事例8-1 民間開発事業を活用した施設整備事例(89頁)では、コスト面の軽減についてを記載している。どのように軽減になったのかを、具体的な金額も入れて記載をお願いする。

 

以上

 

 

 



**********中央区HP**********************
http://www.city.chuo.lg.jp/kusei/paburikku/koukyoushisetsu.html 

「中央区公共施設等総合管理方針(素案)」へのご意見ご要望を募集しています。


更新日:2017年2月20日
.
区では、公共施設建築物や道路、橋りょう等の「公共施設等」について整備や活用、維持管理などの基本的な考え方・方針を示した「中央区公共施設等総合管理方針」の素案を取りまとめました。

中央区公共施設等総合管理方針(素案)

ファイルダウンロード中央区公共施設等総合管理方針(素案)概要版(PDF:684KB)
http://www.city.chuo.lg.jp/kusei/paburikku/koukyoushisetsu.files/gaiyou.pdf 

ファイルダウンロード中央区公共施設等総合管理方針(素案)(PDF:5,487KB)
http://www.city.chuo.lg.jp/kusei/paburikku/koukyoushisetsu.files/koukyoushisetsu.pdf 

ご意見をお寄せください

この中央区公共施設等総合管理方針(素案)について、次のとおり区民の皆さまのご意見を募集します。皆さまから寄せられたご意見を参考に、よりよい計画を策定します。

1.意見の提出期間

平成29年2月13日(月曜日)~平成29年3月6日(月曜日)
なお、提出期間を過ぎてお寄せいただいたご意見は、受理できませんのでご注意ください。

2.意見の提出方法

住所、氏名(団体の場合は団体名と代表者名)、年齢、電話番号を明記して、区役所2階の企画部企画財政課窓口への提出、郵便、ファクス、Eメールまたは区のホームページからの入力でお寄せください。
<提出先>
〒104-8404
中央区役所
企画部企画財政課企画主査
ファクス03-3546-2095
e-mail: koukyoushisetsu@city.chuo.lg.jp 

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情報とどう接するか?事実を別の言葉に置き換える政策に、惑わされないことが大切です。

2017-03-06 10:18:38 | メディア・リテラシー
 今、私たちの最大の課題のひとつは、情報とどう接するかです。

 事実を別の言葉に置き換える政策に、惑わされないことが大切です。

 いろいろなメディア媒体は、「悪くすれば、少数の人間が自分の目的のために社会解体を宣伝する際の道具になる」(リップマン『世論』22年・掛川トミ子訳)、だから、真実を見出していかねばなりません。


 各紙が、示唆的な論説を掲載してくれています。


*****日経新聞 20170306 7頁 抜粋*****
世論形成が危ない  SNS政治に「待った」 論説主幹 芹川洋一

 同じ方向の情報ばかりに触れてしまうネット。ムードに流されやすいテレビ。論理的な思考は活字だが、新聞でさえ「悪くすれば、少数の人間が自分の目的のために社会解体を宣伝する際の道具になる」(リップマン『世論』22年・掛川トミ子訳)といわれた。


 そうだとすればネット・テレビ・雑誌・新聞が互いにチェックしながら、ゆがんだ世論形成にならないようにしていくしかない。求められるのは客観主義にもとづく正確な事実、データ・証拠による比較分析、全体状況と時間軸の中でとらえていく思考だ。


 自戒をこめてだが、そうした点こそ、とくに新聞が果たさなければならない役割である。米欧でおこっていることは日本にとって決して無縁ではない。


****朝日新聞 20170303  抜粋****
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12822670.html

(異論のススメ)民主政治のよりどころ 「事実」は切り取り方次第 佐伯啓思

 われわれが「世界」について知るのはほとんどメディアを通してである。例えばトランプ氏がどのような人物であるかもメディアを通して知りうるだけである。メディアが提供する情報をわれわれは「事実」だと思っている。ではメディアは本当に「事実」を報道しているのだろうか。

 そうは簡単には言えない、と述べたのは、『世論』を書いた米国のジャーナリストであるリップマンであった。1922年だから100年近くも前のことだ。

 この古典的な書物において、彼は、メディアがいう「事実」なるものは、その取材者の世界観や先入見によって「世界」を恣意(しい)的に切り取ったものだ、という。それは、ジャーナリストの悪意というより、人間の認識そのものの構造なのだ。「世界全体」などわれわれは見ることも知ることもできない。せいぜいその一部を切り取るのだが、その切り取り方にすでに先入見が持ち込まれている。こういうのである。

 そして、リップマンが警鐘を鳴らしたのは、疑似的な「事実」をもとにメディアが作りだす「世論」が、現実に政治を動かすからである。「世論」が民主政治を動かす「神」のごときものとなれば、自己の主張を「事実らしく」みせて「世論」を形成することで政治に影響を与えることができるだろう。トランプ氏からすれば、メディアは最初から偏った報道で世論を作り出している、といいたいのであろう。

    *

 ところで、今日、われわれはもはや、トランプ氏と同様、「客観的な事実」などというものを容易には信じられない世界にいる。たとえば、東京都の豊洲市場予定地についての確たる「事実」はどこにあるのだろうか。南スーダンで何が起きているのだろうか。すべては「見方」の問題ではないか、というほかない。そして、民主主義というものは、客観的で確かな事実や真実などわからない、という前提にたっている。それより、人々がそれをどう判断し、どう解釈するかという個人の見解の自由に基礎をおいているのだ。

 だから、古代ギリシャのポリスの民主政治においては、「事実」はどうあれ「説得」する技術を教えるソフィストが大活躍したのである。トランプ氏がもしも「事実」などより「説得」によって政治は動く、と考えているとすれば、彼こそはもっとも民主主義的な大統領ということになるであろう。メディアが「事実」をもちだして争っても分が悪いのだ。「ポスト真実」は今に始まったことではない。民主政治と不可分である。われわれが頼りにすべきものは、「事実」そのものというより、それについて発言する人物(あるいはメディア)をどこまで信用できるか、という「信頼性」だけなのである。その信頼性を判断するのは結局われわれ一人一人なのである。われわれにその判断力や想像力があるかどうかが政治の分かれ目になるのであろう。


******朝日新聞 20170304 抜粋*****
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12824611.html

(声)「ポスト真実」日本も同じでは

2017年3月4日05時00分


 大学非常勤講師 佐藤くみ子(東京都 68)

 「ポスト真実」という言葉を知りました。真実、事実を重視しない状況を指すそうです。トランプ米大統領の政策や発言が事実に基づかなくても、現状に不満を持つ人々の気分に訴えて一定の支持を得る状況を恐れる言葉として、よく使われます。例えば、経済活性化のために地球温暖化の事実を「なかったこと」にするやり方です。

 日本はどうか。こちらも「ポスト真実」という気がします。

 南スーダンの「戦闘」を国民に「衝突」と説明する。「戦闘地域」には自衛隊を派遣できないから「真実」を隠そうとしたのでしょう。「共謀罪」を衣替えしたものを「テロ等準備罪」と呼ぶ。テロが怖い国民の心理を利用しようとしたのでしょうが、法案の条文に「テロ」の表記がなく議論になっています。

 第2次大戦中、軍部は「全滅」を「玉砕」と、「退却」を「転進」と言い換えて厭戦(えんせん)気分を封じました。事実を別の言葉に置き換える政策が今もまかり通る恐ろしさを感じます

 どんな言葉に置き換えても事実は事実。「米国はひどいね」なんて論評している場合ではありません。「NO」と言うべき時に「NO」と言わなければ、いつの間にか「冬の時代」になると思えてなりません。

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劇団型特殊詐欺にどうかお気を付け下さい。

2017-03-06 08:11:26 | 防災・減災

 特殊詐欺。

 皆様どうか、ご注意ください。

*****読売新聞 20170306 17頁*******

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小児科医のマインド、小児医療とは。子どもの貧困問題に取り組む飯田市の小児科医、和田浩さん

2017-03-06 07:54:36 | 小児医療

 小児科医のマインド。

 「狭い意味での医学的なことだけ、例えば『ぜんそくの治療のためには定期通院が必要です』と言っているだけでは、それ自体は正しいけれど、実際に通院できないとその子のぜんそくはよくならない。だとすれば、その原因にまで踏み込む必要があります」

 同感です。

 『病気だから、保育園、休んで下さい』と言っているだけでは、突然の仕事の休みをとることは難しいです。『クリニックが、その病気の子の静養の場所をつくる』ということで病児保育を、私は始めました。

 『不登校だから、教育委員会に相談してください』と言っているだけでは、不登校の原因やその解決に至りません。一緒に考える必要があると思います。

 事故を起こした。『気をつけて下さい』言っているだけでは、また、同じ事故を繰り返す子どもが出てきます。事故の状況を分析し、より事故が起こらないまちづくりが必要です。

 などなど、挙げればきりがない課題がそこにはあります。

 子どもの健やかに育つ環境を、作って行く小児科医の重要な使命があると考えています。



**************毎日新聞 長野県版********************************
http://mainichi.jp/articles/20170304/ddl/k20/040/249000c


信州人軽快問答
.
病の陰に子どもの貧困 小児科医・和田浩さん /長野



毎日新聞2017年3月4日 地方版
長野県


「がんばるお母さんたち認めて」

 子どもの貧困問題に取り組む飯田市の小児科医、和田浩さん(61)。軽快な問答になりにくい深刻なテーマだが「がんばっているお母さんたちを認めてあげて」と熱く語ってくれた。【長沢英次】


 --取り組みのきっかけは。

 「母親自身と子ども4人のうちの3人がぜんそくの患者さんがいました。定期通院が必要なのに予約の日に来ない。発作を起こすと訪れるので、なぜ通院が必要なのかを説明すると、お母さんは『分かりました』と言って次回の予約をして帰る。だけど来ない。僕もさじを投げて『どうせ来ないよね』とスタッフと話しているような状態でした。ある時、思い切って『経済的に大変なんですか』と聞いてみたら、そうでした。4人分のぜんそくの薬の支払いは院外薬局で1万円を超える。後から返ってはくるけど、とりあえず1万円以上の持ち合わせがないと来られない、と」

 「うちの職員が付き添って手続きに行き、生活保護を受けられるようになり、その後は予約の日に必ず来てくれました。その間に子どもたちのぜんそくはよくなって、定期通院は必要なくなりました」

 --子どもの貧困の現状は。

 「どんどん悪くなっています。小児科医って、子どものためだったら採算関係なく一肌脱ぎたいと思っている人が多いんです。だから貧困が見えるようになってきたという側面もありますが、それ以上に状況が悪化しています。患者さんから『今日のお米がありません』という話を聞くこともあり、うちの病院で食料、衣類、学用品の提供もしています」

 --生活保護受給の手助けや食料の支援まで。お医者さんは病気の治療が責任の範囲と思っていましたが。

 「狭い意味での医学的なことだけ、例えば『ぜんそくの治療のためには定期通院が必要です』と言っているだけでは、それ自体は正しいけれど、実際に通院できないとその子のぜんそくはよくならない。だとすれば、その原因にまで踏み込む必要があります」

 --生活保護バッシングに見られるように、貧困層に冷たい世の中のように思います。

 「貧困層以外も含めたお母さんたちへのプレッシャーが大きいと感じます。お母さんたちは、自分はだめだと思わされている。『私、ちゃんとできてない』と。お母さんこうしましょう、と小児科医もよく言いますが、完全にできないといけない、というニュアンスで伝わっている場合がある。小児科医はよかれと思って言っていても、お母さんたちは、がんばった部分が認められず、ちょっと不足した部分だけが指摘されたと感じてしまう」

 「言っている医者は自分の生活がパーフェクトかというと決してそうじゃない。メタボだったり、たばこがやめられなかったり、酒を飲み過ぎていたりするわけです。でも人間ってそういうものですよね。なかなかきちんとできないけど、まあほどほどにお互いがんばってるね、という感じで生きている」

 「特に貧困層の親はつっこみどころが多い人がいるんです。私たちの中には『貧乏だけどけなげな親子』というイメージがありますが、そこから外れる人が多い。貧困の中でストレスを抱えて育ったのでコミュニケーションが上手じゃなく、すぐにキレるとか未熟なところがある。だから周りから同情されず、バッシングされてしまう。『あんなんじゃだめだよ』と切り捨てられる。そういう人たちをどう見るか。100点満点を基準にしてマイナス評価をするんじゃなくて、0点を基準にすれば、がんばった部分が見えるんです」

 「仕事帰りにコンビニで弁当を買って帰って子どもに食べさせたと聞くと、母親としていかがなものかと思いますよね。本人もそう思っています。『またコンビニ弁当にしちゃった。あたしってだめだ』と。でも、子どもを飢えさせちゃいけないから、とにかく何か食べさせなきゃとコンビニに寄って、それなりに栄養を考え、子どもが好きそうな弁当を選んでいると思いますよ。それは100点ではないけれど、0点でもない。50点くらいあげたっていいんです。『仕事で疲れてるのに、とりあえず子どもを飢えさせることはしなかったね。お母さん、よくがんばったよ』って言ってあげるべきなんです」

 「自己肯定感を高めることが、貧困に負けずに生きていく上で大事です。僕らがどういう声のかけ方をするか。だめだ、だめだと言われ続けたら『私はどうせだめだ』と思って、がんばる努力なんかしませんよ。『またこれやってないね、だめだね』って言うんじゃなくて『がんばったね。大変だったね』と、がんばったところを見つけて声をかけてあげるべきです。全てのお母さんは、どんなにだめなお母さんと見られていても、虐待をしているお母さんでも、がんばっているところはある。100%だめな人じゃないんです」(さまざまな分野の人へのインタビューを随時掲載します)

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 ■人物略歴

わだ・ひろし

 1956年、飯田市生まれ。健和会病院副院長。
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