中央区は、土壌汚染問題が解決されることを条件に移転を容認した経緯があります。
しかし、土壌汚染対策で約束された専門家会議が提言の盛り土がなされていない事実が昨年9月に発覚しました。
土壌汚染問題解決の条件が守られなかったのであるから、中央区としては、移転の容認はできず、原点回帰をして容認の撤回、移転反対の立場をとる状況になっていると考えます。
予算特別委員会の場での議論に期待を致します。
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http://digital.asahi.com/articles/DA3S12841679.html
(社説)豊洲百条委 「安全軽視」の末の混迷
2017年3月15日05時00分
東京・築地市場の豊洲移転をめぐる都議会百条委員会の審議が進んでいる。
提出された資料や質疑から浮かび上がるのは、東京ガスの工場跡地が移転先候補地になった00年以降、「食の安全」への十分な配慮を欠いたまま既成事実を積み重ね、身動きがとれなくなっていく都の不手際だ。
その結果、巨額の土壌汚染対策費を都民の税金で負担せざるを得なくなり、いまに至っても移転のメドが立たないという混迷を招いている。
今月11日の質疑では、都が土壌汚染の実態を把握していない初期の時点から、東ガスに「安全宣言」を与える姿勢で臨んでいた疑いが指摘された。00年12月、当時の浜渦武生副知事の指示を受けた都庁幹部が「安全宣言をしないと東ガスにとっても地価が下がって困るだろう」と持ちかけたという。同社が提出した文書に記録されていた。
土地の売却を渋る東ガスへの「脅し」とも受け取れるが、市場の利用者や都民の目には、安全を置き去りにした駆け引きと映る。都は何を考え、実際にどんなやり取りがあったのか、引き続き解明が必要だ。
その後の対応も疑問が続く。
東ガスは翌月、環境基準の1500倍のベンゼンが移転用地から検出されたと公表し、対策工事後も汚染が残ることを都に伝えた。だが、都は議会に対し、「東ガスが適切に処理する。市場用地として支障はない」などと安全性を繰り返し強調していた。
都民とその代表である議会の存在をどう考えていたのか。認識が問われてしかるべきだ。
立ち止まる機会は失われたまま、東ガスによる土壌処理が終わった後の08年、今度は基準の4万3千倍ものベンゼンが検出された。対策費860億円の大半に都税が投入されている。
この間、当時の石原慎太郎知事と浜渦氏は、都の最高幹部としてどんな協議を重ね、判断を下し、指示を出したのか。両氏はこの連休中に百条委に喚問される。正確・丁寧に都議の質問に答えてほしい。
石原氏は今月3日に記者会見をしたが、内容に明らかな事実誤認があり、会見後に自ら訂正のコメントを出すという醜態をさらした。「豊洲移転は私が知事に就任する以前からの既定路線」という釈明も、元部下たちが先日の百条委で具体的な事実をあげて否定している。
改めて事実を精査し、今度こそ都民への説明責任を果たす。4期13年余にわたって知事の座にあった氏の責務である。