3/13本日、中央区議会予算特別委員会の実質的な審議が終了しました。
最終日は、各会派のまとめとしての「態度表明」をすることとなります。
私は、今回の予算特別委員会の議論の総括を以下の趣旨で「態度表明」として述べました。
基本10分間以内と言う制約があり、その限られた中で、何を述べるか、各会派の個性が出ます。
私は個々の政策の改善という視点よりも、政策を実施する上での大きな方針・心構えに関して強調した記載といたしました。
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一般会計当初予算1483億9376万4千円は過去最大規模であるが、工事費高騰による市街地再開発事業費及び晴海西小中学校等新設という特殊な要因を除くと1100億円規模と昨今の規模に近い。区民一人当たり67万円の予算と区も分析する。
しかしながら、基金残高が41億円減り、特別区債が102億円増え、起債依存度がこれまでの3−4%台から7.5%へ急増する。財政環境は、予断を許さない。
本予算での「学校給食費等無償化」並びに予算審議経過の中で明らかにされた「高齢者・障がい者の江戸バス無料化」及び「区立幼稚園教育の魅力発信の新規取組」に感謝申し上げる。
同時に策定される『基本計画2023』では、4分野(温暖化対策、水とみどり、コミュニティ、経済活性化・文化振興)をリーディングプロジェクトとして選定しKPI(達成度の目安となる指標)を取り入れたことは敬意を表する。一方、今までの基本計画にあった中長期財政計画が落ちた。『個別施設計画』に委ねられるということであるが、同計画にも財政規模の記載がないため、『個別施設計画』の適宜の改定を求める。
さて、本予算が謳う「新たなステージ」の理想像について、予算審議で議論した論点を踏まえ5点述べる。
1、「子どものために」から「子どもとともに」へ
2016年の児童福祉法の大改正において、1994年に批准した「子どもの権利条約」を受けて、子どもは「保護される客体」から、①生きる権利、②育つ権利、③守られる権利、そして④参加する権利を持った「権利を有する主体」へと法律上の位置付けが大きく変わることとなった。
昨年成立したこども基本法第11条では、こどもの参加する権利を保障するためにこども施策の立案に際し、自治体がこどもの意見を聞くことが義務化されるに至っている。
本予算では、中学生と防災拠点運営委員会の合同防災訓練実施や、「Team Carbon Zero」での中学生からの参加や区立学校との緊密な連携など防災や環境の取り組みにおいて子ども達の参加を積極的に取り入れようとしている。
また、総括質疑でご答弁いただいたように、都が本年1月12日策定し社会的養護を受ける子どもの自らの処遇のあり方について意見が述べることができるようにするアドボケイト・意見表明等支援員に関する提言に沿った対応をいち早くとるとのことである。
「自分たちのことを自分たち抜きで決めないでほしい」と子ども達は考えている。
個々の子ども達の対応においても、そして、区の政策立案・実施においても、子どもの意見をきいて、「子どものために」だけではなく、「子どもとともに」ということを常に念頭においた区政運営を期待する。
なお、子どもの権利の観点からは、現行なされてきた共通買物•食事券の購入対象者の年齢制限にはなんらの合理性はないと考える。
2、区民とともにつくる中央区へ
基本構想の将来像のひとつが、区民らが地域の課題に自ら取り組み解決するプロアクティブ・コミュニティである。
町会・自治会・PTA・消防団・民生委員・青少年対策地区委員会委員・防災拠点運営委員会委員・プレディサポーター・高齢者通いの場・公園ボランティア・動物との共生推進員など区民による活発な活動はすでに行われて来たところであるが、基本計画では、コミュニティ活性化をリーディングプロジェクトの一つに捉え、KPIには「多様な地域活動に意欲のある人」の数を、10年後4000人との目標を立てている。
①地域包括ケアシステムの構築、②放課後の子ども達の居場所づくり、③「本の森ちゅうおう」が有する地域資料、そこには40箱の未整理・未登録資料があるとのことであるが、その地域資料の監理、④選手村跡地に誕生する新しい街の担い手づくりなど区が直面する喫緊の地域課題へは、区民参加を得ながら取り組む必要性が考えられる。
区民費の款でご答弁があったプロアクティブ・コミュニテイの担い手の課題としての継続性と信頼関係を構築し、さらに区民参加がなされることを願う。
3、「説明する」だけですますのではなく、「協議をする」まちづくりへ
都心商業地域だけではなく、月島、勝どき、豊海、晴海、築地などの居住地域でも大規模再開発が進行し、まちのありよう、そしてコミュニティが大きく変容しようとしている。
超高層大規模建築物の建て替えの技術的な手法や合意形成の手法は確立しているとは言えないし、区もその回答を次の世代に委ねるだけで説明責任を果たしているとは言えない。
月島三丁目南地区においては、地区計画を変更する際、「まちづくり条例に基づく区と地元住民との協議に提出された都市計画」案について、一部地権者が協議に参加できないまま作成された。その後も施行地区内の住民同士の実質的な話し合いがなされることなく現在に至っている。コミュニティの崩壊は深刻で、本年夏の住吉神社例大祭で月島四之部の神輿が果たしてあがるかどうか。。。それでもあげようと意気込む住民達はいる。それら月島三丁目で起きた再開発問題は、若者達の手で短編映画『探す未来』が制作され、ヨーロッパの映画祭で高い評価を受けている。
区は再開発において住民100%の同意を得た上で行うとしているが、月島三丁目南地区において同意取得を難渋したのは、そもそも、住民主体で運営されるべき再開発準備組合、再開発組合においてその事務局が、権利変換計画において利益相反関係となる参加組合員の建設会社社員が担っていたことが大いに起因したのではないかと推察する。すなわち、民法で禁止されている自己契約・双方代理類似の構造が要因としてあった。
住民主体で発案・推進されるべきまちづくりにおいて、中立・公平な立場から支える学識経験者を加えた組織づくりを区は進め、「説明する」だけで終わるのではなく、住民と実質的な協議をするまちづくりが求められる。
4、誰一人取り残さない中央区へ
児童虐待相談は、コロナ前から1.5倍約100件増の300件近くある。一時保護所で保護されている児童・生徒から「在籍学校に通いたい」と言っていると児童相談所から相談を学校が受けた場合の対応について、教育委員会から本人に寄り添った個別具体的な対応を行っていただける旨のご答弁がなされ、保護された児童・生徒の意見表明の内容が実現されることを確認した。
児童虐待死が一番多いのは「0ヶ月0日」であり、それは、本予算で取り組みが強化される伴走型支援につながっていないであろう妊婦である。そのような「助けて」が言えない区民にいかに支援の手をさしのべていけるのか。伴走型支援のメニューの多様化とともに、「男女平等センター」で取り組むSNS相談がひとつの手段として届くことを期待する。ヤングケアラー、ひきこもり、自殺などの問題でもSNS相談からのアプローチを合わせて期待する。
クラスの騒がしさやいじめなどかかりつけ医が相談を受けた場合、スクールソーシャルワーカーを介し学校と解決に向けた連携体制の構築にも期待する。
また、『個別避難計画』を作成すべき避難行動要支援者7632名のうち同計画を立案できているのは昨年11月段階で17名であった。発災時に、避難ができているかをICT技術を用いて全員の要支援者の避難状況の把握をすることも早急に進めることを期待する。
5、区の職員が自己啓発を進め、その専門性が継承される職場へ
今年度末で、これまで20年以上地域資料について学んで来た直営の司書資格を有する職員の雇い止めが予定されている。しかし、そのノウハウ、技能は、指定管理者スタッフへ十分には引き継がれておらず、上述のように地域資料40箱未整理と実際に行う必要性のある膨大な作業が残されたままである。「地域資料室の資料の収集•管理・保存の監理・監督は直営スタッフが行う」という区民・議会との約束が反故にされることであり、単なる雇用の問題ではなく、地域資料を理解し解説し、区民の利用に資する機能を失う一大事である。だからこそ、老舗の皆様を中心に、やむにやまれぬ思いから、本定例会の付託に向け地域資料の適切な監理に関する請願が提出されたのである。
会計年度職員だからと言う理由だけで雇い止めが許されてよいか、もちろん属人化させないことは副区長職含めあらゆる職場において重要なことではあるが、今後も起きうるであろう会計年度職員等職員の退職•異動に際して、その技能、専門性の継承をしっかりと行うことを求める。
また、区職員には、例えば、樹木医が4名おられるが、その資格をとるのにホテル代含め20万円以上の経費がかかるとのことである。そのような自己啓発には、サポートの仕組みもさらに充実させ、学びながら働ける職場環境づくりを、結果としての区民サービスの向上につなげていただきたい。
これら5つの「新たなステージ」の実現には、私たち議会の不断の努力も求められる。
①今定例会で経験したような予算特別委員会の区民費から三特別会計までの重要な審議の場で、予算提案の総責任者である区長の不在を黙認して本当によいのか、②区民の皆様が提出してきたやむにやまれぬ思いの請願を改選期だからという議員側の理由で実質的な審議をしなくて本当によいのか、新しく誕生する議会において、改めるべき大きな課題であると考える。
以上、会派「子どもを守る会」は、新年度予算で謳う「新たなステージ」が、区民の皆様と共に築かれることを心から願い、各会計予算に賛成をいたします。
以上
中央区HP:https://www.city.chuo.lg.jp/a0002/kusei/zaisei/yosan/r5/20230126.html