1/19法政大学の法科大学院で「行政裁量の違法性」と題した公開講座(五十嵐敬喜法学部教授研究室)が開催され受講。
*東九州縦貫道 原告岡本栄一氏
代替案とのコスト比較がひとつの論点
*圏央道天狗山訴訟 弁護団 関島弁護士
費用便益費がひとつの論点
*鞆の浦世界遺産訴訟 弁護団事務局長 日置雅晴弁護士
景観破壊と道路ができることの便益と評価軸が異なる中での裁判
*中野駅駅前再開発訴訟 弁護団 富田裕弁護士
都市計画法13条で定められていても、運用基準が明確でない
上記訴訟の報告と、この4つの訴訟に共通する行政裁量について質疑がなされた。
4つの訴訟に共通する点は、行政の裁量権が広範に認められているということ。
これは行政職員の専門性を重んじた過去(立法当時は専門家が殆どいなかったことに起因)に裁判所が引きずられているためである。
過去に行政訴訟で裁判所が取り上げたケースは
1、手続きの不備、
2、他計画との整合性
であり、裁量の違法性では全敗とのことである。
3、残念ながら、環境アセスメントは、裁判では、アセスメントの内容の是非よりも、「環境への影響を評価しているからよい」との判断になる。
これらのことを踏まえ、五十嵐先生のコメントや講座参加者の意見交換から
*立法当時に比べ、行政の専門性は劣化し(コンサルタントに丸投げの状態、つくること前提の資料作成)ており、専門性の実態がなければ裁量権の根拠はないはずである。
*立証責任を原告に課すのはおかしい。
その中で、国側に立証するよう課す(諫早のケース)が見るべき点である。
*専門家が必要であるが、その専門家がいない。専門家がいないため、裁判所は動かない。
*法に規定があっても運用基準がなかったりする。
*政策評価法があっても実態は、機能していない。
*計画段階から市民が加わることができる制度設計が必要である。
*根本的には法改正であり、立法者としてこれらのことを理解する議員の選出、後押しを行う住民の動き(熱意)が必要である。
など。
(このブログ作成に当たっては、住環境関連MLコメントも参考にさせていただいております。)