北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

北海道博物館の「夷酋烈像」展

2015-09-20 23:13:57 | Weblog

 北海道博物館で9月5日から11月8日までの予定で開催されている『夷酋烈像(いしゅうれつぞう)』を観てきました。副題は『蝦夷地イメージをめぐる人・物・世界』で、アイヌ人の姿を描いた絵を中心に、それを模写した人たちや絵画文化、当時の衣装や文物などに関心の輪を広げています。

 そもそもこの夷酋烈像が何かというと、1789年(奇しくもフランス革命と同じ年)に起こったクナシリ島と道東地域でのアイヌ人の反乱「クナシリ・メナシの乱」を治めるのに功があったアイヌ人長老達のうち12人の肖像画を連作で描いたもの。
 原版はそれほど大きなものではなく、30センチ×40センチほどの色紙より一回り大きいくらいの紙に、アイヌの長老達の姿が実に緻密に描かれています。

 作者はクナシリ・メナシの乱の鎮圧にも参加し後に松前藩家老にもなった蠣崎波響(かきざきはきょう)で、乱の翌年の寛政二(1790)年に描いたものです。今はフランスのブザンソン美術館に所蔵されているもので、今回はそれをお借りして展示されているものです。

      ◆ 
  
 クナシリ・メナシの反乱は蝦夷地経営を任されている松前藩にとっては信用を失いかねない大失態でした。

 そもそも問題を起こした飛騨屋は、初代久兵衛が1702年に松前に渡り山林開拓を始めたもので、初代久兵衛は合理的で進歩的な経営を行い、労働者から強権的に利益をむさぼるような悪辣な経営ではありませんでした。

 しかし後年、安永三(1774)年に松前藩への貸し金を放棄する代わりにクナシリ、アッケシ、キイタップなどの場所請負の権利を得たものの、この時にクナシリへ派遣された交易船は地元アイヌの荷物を奪うなどの乱暴のために目的を果たせず、現地との関係を上手く築けない期間が続き、ようやく漁業を始めたのは騒動の起きる前年の天明八(1788)年でした。

 そしてこのときの最前線の現場の者たちは性質が良くなくて、「働かないと毒殺するぞ」などとしょっちゅうアイヌの人たちを脅すような言動を発していました。そこへ地元アイヌの妻が相次いで死んだときに「これは毒殺されたのではないか」という疑心暗鬼が一気に膨らみ、そのため普段から不満をためていた仲間が増えて狼藉に及んだ、というのがクナシリ・メナシの乱の真相です。

 この乱に対する松前藩の処理は賢明なもので、和人を殺したアイヌは厳正に処罰する一方、単に仲間に加わっただけのものには咎めをしないという公正さを保ち、幕府も松前藩への処罰を軽いものとしましたが、この間、松前藩の言い分を夷酋烈像を持参して説明して歩いたのが柿崎波響でした。

 彼の夷酋烈像は江戸や京都でも話題になり、時の光格天皇の叡覧を仰ぐことにもなりました。そしてその過程でつきあいのある大名に貸すことで多くの模写が作られることになりました。

 柿崎波響の緻密な画風は、清の沈南蘋(ちん なんびん)を祖とする「南蘋派(なんびんは)」という流れを汲んだもので、当時のひとつの流行となっていた画風だったんだそうですよ。

 
 現場の管理不行き届きが乱を招き、それを鎮圧して改めてアイヌとの関係を構築しようとする過程で、松前藩の柿崎波響が当時のアイヌの長老の姿や習俗を当時の流行の画風で絵にし、それが今では北海道ゆかりの最も優れた歴史絵の一つになっているというのは面白いですね。

 ちなみに、夷酋烈像の中の長老達がまとっている衣装の多くは、樺太アイヌ経由で大陸の山丹人たちからもたらされたものが描かれています。この時代はもう大陸や島を渡った交易が盛んだったことがよくわかります。

 北海道博物館の「夷酋烈像」展、ぜひ観て頂いて、18世紀から19世紀初頭の蝦夷地とロシア、アイヌの複雑な関係に関心をもっていただきたいものです。
 

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秋を良い思い出にするために~熊スプレーは必需品

2015-09-19 22:43:58 | Weblog

 昨日から札幌の自宅へ帰省しております。連休の前半は札幌で、後半は北上して宗谷管内で過ごす予定。

 今日は朝から妻の実家を訪ねて国勢調査の入力をお手伝い。docomoのパッドを持参して、IDとパスワードを入れてあとは実態に即して入力をしてゆけば良いのです。

 所要時間は10分で無事完了しました。実家で老親がいるという方、電子入力を手伝えるのも明日までですよ。


 義父母の家からのお礼は、庭のブドウを狩り放題。もう二十年以上育てているというデラウェアとキャンベルの味はプロの農家顔負けです。種無しにするジベレリンというホルモン処理をしていないので種はありますが、農薬などを一切使わず肥料は残飯中心の有機農業ですから安心して食べられる美味しいブドウです。

 今やこの季節のお楽しみとなっているのですが、今年も美味しくいただきました。一足早く秋を感じています。


      ◆ 


 同じく秋でもちょっと感じたくないのは渓流釣りの際の熊との遭遇です。そろそろ各地で熊の出没情報が相次いでいるので、保険のためにも熊スプレーは必需品。

 アウトドア専門店の秀岳荘で買い求めて、スプレーは約1万円に専用のホルダーが約3千円。命を守る武器としてはお安いものです。

 今の熊スプレーは小型になっていて射程は9メートル。しかも中身のトウガラシ粉と空気圧が残っている限り何度でも引き金を引くことができます。だいぶ進歩していますね。

 スプレーの説明書には、熊に教われないためのアドバイスとして、①リスク管理~くまに遭遇しない工夫をしよう、②危機管理第一段階~熊と遭遇した場合に備える、③危機管理第二段階~熊が接近、攻撃してきた場合、という章に分けて心得が書かれています。

 熊と遭遇した場合には、背中を見せて逃げることは自殺行為。熊が狩猟本能を覚醒させて反射的に追いかけてくるのだそう。

 「死んだふり」をしてもくまには好奇心があるので、結構小突かれることを覚悟しなくてはならず、本当に万策尽きたときの対処でしかないと書かれています。

 お互いに不幸なばったり遭遇ということがないように、常に自分の存在を知らせて互いの世界が交錯しないように気をつけたいものです。

 秋は良い思いでだけを残したいですね。 

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サロベツ湿原と利尻富士を一望~豊富町宮の台展望台

2015-09-18 23:45:13 | Weblog

 豊富町にある宮の台展望台へ行ってきました。

 サロベツ原野は日本で三番目の湿原ですが、その広さを感じられるポイントの一つがここ宮の台展望台。国道40号線から少し東に入った高台にこの展望台は立っています。

 この展望台の歴史は古く、最初はその土地の名から「徳満展望台」と言っていたのが、サロベツ原野の開発が始まった頃から「サロベツ展望台」と呼ばれるようになり、昭和三十八年義宮(よしのみや)殿下がこの地をご視察されたことから「宮の台展望台」と命名されたのだそう。

 かつて私が稚内に住んでいたときに父が担当していたのがサロベツ湿原の開発事業でした。50年経ってやっとのことでその事業をまじまじとしかも事業関係者の一人として見ることができ感慨もひとしおです。

 花々が湿原を埋めるように咲いているときは湿原センターなど湿原の中に入り込んで見るのが良いのですが、湿原を含んだ北海道の広大な風景を見るにはここのような高台から見渡すのが良いでしょう。

 今日は空気も冴えて利尻富士もくっきりと見ることができました。

 北海道らしい風景の一つとして記憶にとどめておきたいですね。 

 

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人口減少を生きる術~多能工で行こう

2015-09-17 23:48:47 | Weblog

「これまでやってきた政策って、全部過疎対策なんです」

 そういうのはこの地域のある首長さん。子育ても医療も産業振興も教育も全部、この町に住む人が幸せを感じて人口が増えることを願ってのことなのだと。

「でもことごとく期待に反して人口は減り続けています。地域の首長が集まるたびに、『お互いに住民を奪い合うようなことはしないでおこうね』と言っていますが、地域間で頑張っても皆札幌や東京へ行ってしまう。なにをやってきたのかなあ、と空しくなることがありますよ」

 地方創生という現政権の看板政策が語られるときに、その基本方針として「東京一極集中の歯止め」が挙げられ、『地方から東京圏への人口流出(特に若い世代)に歯止めをかけ、地方に住み、働き、豊かな生活を実現したい人々の希望を実現する。東京圏の活力の維持・向上を図りつつ、過密化・人口集中を軽減し、快適かつ安全・安心な環境を実現する』と記されています。

 しかし、現実には都会へ来る人の流れを止めるようなことはなく、地方には『地域の特性に即した地域課題を解決せよ』と言います。

「もうさんざんやってきたけど地方で解決できることなんてないのじゃないか、という気持ちになります。そもそも地方が頑張っても、国全体の子供の数や人口が増えないのならば、それは地域同士で奪い合えということにしかならないではありませんか」

 
 人口が増えてこそ初めてどう奪い合うかという議論もできようというものですが、問題はまず国として人口が増えないことです。このことが地方において人口減少対策が機能しない最大のポイントです。

「まずは底が抜けて水が漏れる樽の穴を塞げってことですよ」


       ◆ 

 
 しかしもう一つの問題は、国の少子化対策、人口増加政策が機能したとしても本当に人口が増えてくるためには時間のタイムラグがあります。

 まだこれからも人口減少の局面を迎える時間を耐えていかなくてはなりません。

 人口が増加に転じる時期を期待しつつ、まず自分たちにできることは人口が減っても今の都市機能や地域の生活水準を落とさずに頑張るということ。そのためにはより少ない人間で今と同じだけの生産規模や水準の維持を行うことです。

 そしてそのためには一人一人がこれまで以上の役割を果たしていかなくてはなりません。10人でやっていることがこれからは8人でやらなくてはならないとしたら、その2人分を何らかの技術で埋めるか、一人一人が10/8だけ効率を上げなくてはならないということです。

 私はその時のキーワードとして「多能工になる」ということを挙げたいと思います。

 専門的なプロフェッショナルが仕事を行うことで効率的な仕事を行えるというのは仕事の機会が多い都会での出来事。

 仕事や機会が少ない地方部では、様々な局面でプロとまで行かなくてもセミプロ級の仕事はできるというスキルをもってそれを各方面で発揮しあうようなことで補う思想が必要だと思います。

 だから一つのことを先鋭的に行うことが得意な人は都会で暮らし、いろいろな事が器用に行える人は地方で暮らす。そして地方で暮らすことに対するインセンティブを与えるような政策が必要になると思います。

 自分は多能工で行けるのか、専門家で行くのか、そんな自分の得意技にみあった生き方や住まいが選べるような時代が来ないでしょうか。

 
 単身赴任経験者って、多能工への良い練習ができていると思います。もっといろんなことができるようになって、地方の暮らしを支えるという生き方はいかがでしょうか。
 
 

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サハリンの観光事情を見て気が付いたこと

2015-09-16 21:47:42 | Weblog

 稚内市にはサハリンに何度も行って昔からの様子に詳しい人が何人もいますが、今日はそんな一人とサハリン話で盛り上がりました。

 サハリンの印象を訊かれたので、「圧倒的なアウェイ感にさいなまれました(笑)。なにしろロシア語の看板は読めないし英語の併記もないし、日本語はもちろん英語も通じない。買い物のための自由時間でも最低限の買い物しかできませんでした」と答えました。

 最初は(サハリンの人たちは日本人観光客に来てほしいと思っていないのではないか)と思ったのですが、実は日本だって観光立国だなどと言い始めたのはここ十年くらいなもの。

 二十年前がどうだったかと思うと、海外からの観光客を迎えるなんてことはほとんど考えたことがなかったし、「お・も・て・な・し」などと言ってもこれもごく最近の事です。 

「外国からの観光客の受け入れということがまだ本格的に始まっていない印象ですね」

 するとその方は、「いやあそれでも昔から比べると大幅に改善されましたよ」とおっしゃいます。

「かつてソビエト連邦の社会主義が崩れたときにも私は現地へ行ったんです。そして『あなたたちもペレストロイカで改革ということになるのですから、観光についてもっと考えてはいかがですか』と言ったんです」
「ははあ、その頃からのことですか」

「でもそのときの相手の反応は『観光ってなんですか』というものでした。観光なんて概念がないんですね。そのころは我々がいってもまともに泊まれるホテルと言えば二つくらいしかありませんでした。今ではもっと多いでしょう?それもだいぶ進歩したんです」
「なるほど」

「それと同時に、『日本人の観光客が来たらお土産を買うものだからそういうお店や品ぞろえも考えておいた方が良いですよ』って言ったんです。そうしたらまた相手の返事が『お土産ってなんですか』でした(笑)。『日本人は旅の記念として家族や友人のために、旅先のものを何か買うものなんです。フェリー乗り場だったら、きっと旅行で残ったルーブルや小銭を使い切るから、こういうところで何かお売りなさい』とアドバイスしたものです。そうしたら翌年に屋台みたいな物売りができて、そのうちにお店になっていました。だから観光への考え方も受け入れながら段々に理解が深まっていくんだと思うんですがね」

 実はサハリンの経済が上向いたのも、少し前に石油や天然ガス開発が大いに行われたサハリンプロジェクト後のことでまだ最近なのだそう。意識改革と共に、経済的な余裕も必要なのかもしれません


       ◆ 



 また、ロシア語が分からないので現地でまごついたという話をしましたが、これも実は最新の技術が解決するかもしれません。

 私もスマホを持っていきましたが、今になって冷静に考えるとスマホにはロシア語変換機能があるので、日本語で打ち込んでそれをロシア語に変換して画面を見せればもう少しマシなコミュニケーションが取れたかもしれません。道案内だって、スマホで位置情報を掴めば良いのです。

 ドコモショップへ行って訊いてみたところ、諸外国でも一日30MBまで使い放題というプランがあってロシアであれば一日1580円とのこと。事前にこれに接続するアプリを入れておけば、現地でそのアプリを起動するだけで定額でのスマホ利用ができます。

 こちらから外国旅行をするときにそういう準備をすればよい、と思うのならば、インバウンドとして日本へ来る方だってそういう準備をするはずです。せめてホテルの受付にはタブレットを何台か置いてあって、それを仲介してコミュニケーションを取ることで、対話をかなりスムースにすることが期待できます。

 高いお金をかけて印刷物を用意するのも良いですが、ネット環境とネットの向こうに様々な情報を置いておくことが少ないお金で情報提供をするこれからのツールになりえると思います。

 海外へ行くときも海外から迎えるときも、観光技術のイノベーションを駆使して障壁を下げたいものですね。

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国勢調査にインターネット回答

2015-09-15 22:54:33 | Weblog

 久しぶりに戻った単身先の住まいですが、国勢調査のインターネット解答利用案内が届いていました。

 今回の国勢調査ではインターネット回答を推奨していて、それへの答えがなかったところに紙の調査票を届けて回答をしてもらうという優先度になっています。

 国勢調査は西暦の末尾が「0」年の年に大規模調査を行い、「5」の年には簡易調査として少し少ない項目で調査を行い、今年は簡易調査の年です。

 項目を見ると簡易調査の年は大規模調査よりも項目が減っているものですが、なかには簡易調査の年ながら調査項目として載っているものもあるようです。社会として押さえておきたい項目が社会の成熟と共に少しずつ変化していることを感じます。


 さて、集合住宅の私のメイルボックスに届いた書類は、ネットで指摘されているように封がされていませんでした。稚内というこのあたりの治安を考えれば、目くじらを立てるつもりはありませんが、ちょっと開けばIDもパスワードもすぐに見えてしまうので、(これで良いのかなあ)とちょっと不安になりました。

 私もネット世代なので今回はインターネットでの回答をしてみました。回答はパソコンに慣れた身にはそれほど難しいこともなく、淡々と該当のチェックボックスをチェックしたり文字を書き込んだりすればよく、全体で十分程度で終わりました。

 前回の調査票もネットには出ているので見てみましたが、「学歴」、「住宅の床面積」「直近の就業の有無」などの項目がありません。「5年前の住居」という項目は本当は大規模調査の年に行われる項目らしいのですが、東日本大震災があったということで、簡易調査である今年の調査にも加えられたようです。

 こうした国を挙げての大規模調査は、人口の動態や前回との変化の具合などを知る貴重な資料です。国は信用できないとか、個人情報の保護などを理由に回答したくない、という人もいるかと思いますが、国民一人一人が協力して社会全体のあり様を知ることは、巡り巡って自分たちの利益に繋がることなので、やはり協力すべきだと私は思います。


       ◆ 


 妻の実家からは、「インターネットで回答するのを手伝ってくれないか」と妻に連絡があったとか。スマホやタブレットでもやってあげられるので、こうしたことに慣れていない高齢者世帯には若い世代の協力があっても良いように思います。

 なお、統計法によると、「国勢調査を始めとする基幹統計調査では、調査対象となる個人又は法人その他の団体に対し報告が義務づけられており、これを拒み、又は虚偽の報告をしてはならない」と定められており、実に強い参加を求めています。

 法の趣旨に鑑みて、積極的に協力していただきたいものだと思います。

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119運動と110運動ってなに?

2015-09-14 23:30:24 | Weblog

 久々に研修を受けました。講師は超大手商社の広報室・CSR担当室長さん。

「CSR活動は企業が社会に貢献する姿を見てもらうことでポジティブなイメージづくりにつながると同時に、それは企業の業績にもつながって行く」とおっしゃいます。

 その一つの例が「プレオーガニックコットン事業」。綿花の生産はともすると大量の農薬や化学肥料を使うために、土壌が痩せたり作業する国の人の健康が侵されるなど貧しい地帯でのネガティブな農業につながります。つまり低所得国の人たちへの残酷な仕打ちの上に立っているのだと。

 これをポジティブな農業に変えるために、一切農薬を使わない健康的な農業によるオーガニックな綿花を生産することが理想です。しかしこれでは害虫の害や収量不足につながります。

 また実際オーガニック農業をやろうにも農法を良く知らなかったり、オーガニック認証の取り方も分からないなど、これまでの農法を変えることで農家の収入が落ちる不利益が生じます。

 そこでこれをオーガニック農法の指導員を派遣したり認証の仕方を指導したり、さらには収量が落ちて収入が減る分を価格にプレミアムを乗せて理解ある国や地域に販売することで補うその仲介を商社が行う、これがプレオーガニックコットンという事業です。

 これで生産者の幸せと購入者の満足を結びつけることができますが、これにはしっかりした仲介者が必要です。こうした企業の儲けを追及するだけではなく、社会が良くなる社会貢献として行う姿勢もCSRの一つです。

 近江商人の「三方良し」とは、「売り手良し、買い手良し、世間良し」

 こうした利益をみなで分け合う姿勢こそが求められます。

 ちなみにこの「三方良し」を「英語に訳そうとしてだいぶ苦労しました」と、この室長さん。

「結局、"トリプル・ウィン"と訳しました。自分と相手が共に利益を得る"ウィン・ウィン"という言い方がありますが、三方良しなら三人が利益を得るのでトリプル・ウィンというわけです」

 こういう企業理念は良いですね。


      ◆ 


 その後の質疑応答で、「たくさん社員がいる中で、コミュニケーションを図りながら、決まりを守るコンプライアンスの意識を醸成するにはどのような方法が良いですか」という質問が出ました。

 この室長さんはちょっと悩みながら、「なかなか"これだ!"という決定的なものはなくて、いろいろと工夫しながらやっていくしかないように思います」とした後で、「韓国のサムスンでは"119運動"というのをやっていて、わが社でもそれを参考にして"110運動"というのを唱えています。119運動というのは、"1種類の酒で1次会だけで9時までに終わる"という三つの数字を組み合わせたものです。韓国ってちゃんぽんでお酒を大量に飲んで失敗することが多いようで、それを戒めた言い方です。我々の110運動は、"1次会で10時まで"という数字の組み合わせです。飲むことは必要だけれど羽目ははずさないようにしよう、という工夫ですね(笑)」と教えてくれました。

 組織をまとめる方法は、どこも苦労が多いようですね。

 久しぶりの研修でよい話を聞いて心が洗われました。

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4DXの映画を観てきました

2015-09-13 23:45:45 | Weblog

 札幌ファクトリーのユナイテッドシネマにこの夏お目見えした"4DX"と呼ばれる装置の映画を初めて観てきました。

 映画は「ミッション・インポシブル/ローグネイション」、トム・クルーズ主演の人気シリーズの第五弾です。

 これまで最新の映画システムは3Dと呼ばれる、専用のメガネかけることで映像を立体的に観るものがありましたが、これからは4DXの時代です。

 4DXとは、シートの可動・風・水しぶき・香り・煙・風圧・雷・雨・泡の9種類で、これまでの静かな座席に座って観るという映画の概念を根底から覆しています。

 鑑賞券は前日に買い求めたのですが、売り場の女の子から「車酔いは大丈夫ですか?」とか「足腰は大丈夫ですか?」、「荷物は持って入れませんのでロッカーに預けていただきます」とやたら事前の諸注意が多い。「一応大丈夫だと思います…」と説明してやっと券を売ってもらいました。

 そのうえでなお、「座席が揺れている間はトイレに行けないので事前にしっかり準備してください」という注意。ト、トイレにも行けないのか…。

 ちょっと不安になったので、「あのう、どうしても我慢ができなくなったらどうしたらよいのでしょうか」と訊くと、「映画の最中ずっと揺れているわけではないので、動いていないときにさっと座席から降りてもらえば良いと思いますが、戻ったときにやっぱり揺れていると座れませんので、動いていないときに素早く席に戻っていただければよいと思います」

 まあ期待半分、怖いもの見たさ半分見たいな感じですが、妻は一応酔い止めの薬を飲んで映画館へ向かいました。


       ◆ 


 座席は硬い感じながらゆったりしたつくりで、シートベルトやセーフティバーなどはありません。前後左右にゆとりがあって普通のシートよりは楽に観られます。これも安全上の配慮なんでしょう。
 しかし今回は3Dメガネは必要なかったので、座席の仕掛けを主に味わう感じとなりました。

 …で、「ミッション・インポシブル」はさすがにストーリーが良く練られていて、ドキドキするシーンの連続。相手の裏をかいてはまた裏をかかれ、こいつは敵か見方か…とテンポよくシーンが展開してゆきます。
 さすがにハリウッド映画は良くできている。

 4DX効果は、カーチェイスや空からのシーンでは座席が動き風が吹いてきますし、ヘリコプターの振動が座席に伝わり、殴り合いのシーンでは拳の突き上げが背中を襲います。水しぶきを浴びるシーンでは確かにしぶきが襲い会場がどよめきました。

 最初のうちはドキドキしていましたが、段々慣れてくると次がどんな風になるかも大体予想がついてきました。

 妻は「乗り物酔いの薬を飲んだけどいらなかったね(笑)」といっていましたが、これで映画鑑賞の料金が2,300円となると、「一度体験したかったから良かったけれど、次からは普通の座席でいいかなあ」という感想でした。

 私も一度は味わってみると楽しいと思いますし、映画によってはもっと4DX効果に合う映画があるのかもしれないな、と感じました。

 実はさらに上の効果のあるMX4Dなんてのもあるんだそうですよ。これもイノベーションといえるんでしょうねえ。

【4DXとMX4Dの違いは?】
 http://ciatr.jp/topics/42260

 ディズニーランドのアトラクションに映画が加わった、という印象でしょうか。でも百聞は一見にしかず。野次馬的にとにかく一度は味わってみると良いでしょう。

 こういうアトラクションも都会だからこそで、地方にいるとこれを味わうために余計な時間と旅費がかかるんですね。

 地方に暮らしていると都会との違いをいろいろと考えさせられます。

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カモメとカラスの違い

2015-09-12 20:43:37 | Weblog

 先日礼文島の方と話をしていて、カラスとカモメの話になりました。

「かもめはウニを丸呑みできるんですよ。痛くないのかなあと思いますが平気で丸呑みしてしまう。そこがカラスと違うところです。カラスは丸呑みできないんでつっつくことしかできないんです。くちばしでも随分性能が違います」

「でもカラスの方が賢いんじゃないんですか?」と言うと、「確かにカラスは賢いですよ。車を走らせているとときどき上から何かが落ちて車に当たることがあって、それがつぶ貝だったりするんです」
「ツブですか」

「ええ、カラスはツブをそのままでは食べられないので、上から落として車に轢いてもらうんです。殻がつぶれれば食べられますね。上から車めがけて落としてもタイヤに轢いてもらえなければ、またチョコチョコ現れて少しずつツブの置き場を変えますからね。慣れたもんです」
「なるほど、カラスもウニは食べるんですか」

「食べますよ。でもやっぱり上から落として割りますよね。面白いのは、ウニを獲る猟師との争いです。ウニ漁って、船に乗って足で操船しながらグラスで海の下を見ながら長いさおで獲るんです。猟師が海をのぞいている間に、船べりから獲ったばかりのウニをちょろまかすんです。猟師がウニを取って船を見たら減ってるんで怒りますよね。取ったウニには筵をかけたりして取られないようにするのも必死ですよ(笑)」

 ウニ漁の敵がカラスとは。微笑ましいようですが、猟師さんに取っては死活問題のようです。
 
 

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NHKスペシャルの恐るべき災害予測CG~関東に酷似

2015-09-11 23:45:02 | Weblog

 今日は礼文町での津波避難防災訓練が行われました。

 想定は礼文島の北西部を震源とする強い地震が発生し、礼文島を津波が襲うというもので、礼文町役場に道警北部方面部、総合振興客、海上保安部、北海道開発局、気象台などの関係機関が参加して、訓練の様子を見守りました。



 
 こうした防災訓練ですが、ここ二三日の関東から東北を襲った豪雨による洪水災害を目の当たりにして、なお一層わが身に寄せて考える好機となったことでしょう。

 関東の豪雨については、"線状降水帯"という聞き慣れない気象用語がありましたが、二つの台風による低気圧のせいでそのちょうど境目で豪雨が発生し続けたのだそう。

 茨城県常総市では鬼怒川が氾濫して市街地に川の水が流れ出し、家屋や農地に甚大な被害をもたらしました。

 ところで去る9月5日(土)に放映されたNHKスペシャル「巨大災害 MEGA DISASTERⅡ」が日本を襲う異常気象について最新の知見に基づいた研究成果を興味深く紹介していました。
 
 こうした災害の原因は温暖化による様々な周期を持った大気の変化と海洋の変化が重なり合うことで現象を甚大化させるといいます。

 そして番組の中の近未来の災害シミュレーションのCG画面が今回の災害に酷似していて驚きました。



 災害への備えは、想像力を働かせて危険性を予測するということに尽きます。

 訓練を重ね、想像力を働かせることで国民一人一人に、いざというときに自分の身を守る能力を身に着けてほしいものです。

 NHKの番組はオンデマンド放送もされています。お金を払ってでも見る価値がありますよ。

【NHKスペシャル 巨大災害 MEGA DISASTERⅡ 日本に迫る脅威
  第1集 極端化する気象~海と大気の大変動~】
 http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20150905 

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