こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

天文学者はロマンティストか?

2008-01-08 00:00:00 | 未分類
縣秀彦さん『天文学者はロマンティストか?知られざるその仕事と素顔』を読みました。

まず、天文学者の人となりが書かれています。

国立天文台には、全体としてネクタイこそあまり締めていないが、意外にさっぱりとした身なりで、
観測のある日を除くと、毎朝通勤してきて夜20~21時頃に帰宅している人が多いらしい。

観測というのは体力勝負のところもあるから、その意味で、タフな人たちである。

また観測は天気に大きく左右され、それに加えて一晩という長い時間観測しなければならないので、
気が短い人には向いていない仕事である。

激しい競争に勝ち抜いて定職についた天文学者たちだから、強運はもちろん、
いわゆるサバイバルに勝ち抜く「生活力」のある人たちである。
夢を見ているだけの夢想家や理想家タイプでは務まらない。

ただし実利主義者かというと、そのようなことはなく、お金儲けやギャンブルに疎い人が多いそうだ。

奥手の人が多い感じかする一方、研究者どうしの結婚や国際結婚は、社会一般の平均より高い気がするそうだ。
既婚者では、離婚した人が極めて少ないのが特徴。

リベラル、穏健派、平和主義者が多い。

伝統的にボトムアップの社会であり、トップダウンの進め方をひどく嫌う傾向にある。

そんな天文学者の苦手とする仕事は、予算を取ってくるという仕事だ。
政治や行政に対して、必要以上におべっかを使ったり、こんなに儲かるとか、
役に立つとか、吹っかけるのが苦手。
市民に向かって天文学の成果を話すことは得意なのに、こちらはからきしだめ。
大抵はコテンパンに言われて引き下がることになる。

ALMA計画の際も、まず言われたのは「役に立つのですか?」
「国民はALMA望遠鏡の建設を望んでいるのでしょうか?だったらその証拠を持ってきてください」
そのときは、あわてて署名運動を日本中の関係者にお願いして何とか認めてもらったとか。

日本で常勤で職を得ている人は700人もいず、世界中の天文学者はおよそ一万人弱といったところらしい。

彼らがどのような仕事をしているのかは、この本を読んでください。
NHK出版 生活人新書から出ています。

私としては、NPO法人日本スペースガード協会の仕事の話を、直接聞きたいですし、
「一家に一枚宇宙図二〇〇七」が欲しいですし、JR三鷹駅前ビル「三鷹ネットワーク大学」で
毎月第三土曜日の夜、実施されているというアストロノミー・パブに参加したいです。
そして、日本の大人たちが、科学への好奇心を失わないように望みます。

市民寄席、ど真ん中の見やすい席が取れました。
今から、すっごく楽しみです。

コメント
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