上田早夕里さんの『ラ・パティスリー』を読みました。
四月から夏織が菓子職人として働き始めて間もないフランス菓子店<ロワゾ・ドール>で、
ある早朝、奇妙な菓子職人が働いていた。
腕はベテランなのだが、この店は自分が経営している<パティスリー・ロワゾ・アルジャンテ>だと言うのだ。
調べてみてもそういう名前の店は無く、彼の住むというアパートの鍵は合わず、
彼の名乗る市川恭也なる人物の住民票も存在しなかった。
病院で診察したところ、記憶障害が疑われるということで周囲も納得し、本人の強い希望もあって、
<ロワゾ・ドール>で働くことになった。
彼の正体も気になるところですが、菓子店の日常も興味深く、季節ごとの事件も印象的でした。
結末も、なるほどと納得のいくもので、感情的にも受け入れられるものです。
とても楽しめました。