ソフトタッチ・オペレーション

西澤保彦さんの『ソフトタッチ・オペレーション』を読みました。

念動力（サイコキネシス）によって不法侵入するが、何も盗らずに出て行ってしまう。
そんな事件が連続している。しかも被害者は気づいていない。さらに、その全員がすぐに引っ越してしまう。

血飛沫の記憶と母の幻影に悩む女性。手料理を食べさせた相手が次々と怪死をとげるという男性。
矛盾だらけの豪邸内殺人。男性が２人の女性と一緒に拉致された上に、
次々と見知らぬ女性がテレポートしてくるという、不思議な監禁事件。

五つの事件全てに超能力が関わっているのにミステリとして成り立ち、オカルトのうさんくささがありません。
ただ、結構血なまぐさいのが多くて、表題作の「ソフトタッチ・オペレーション」が
ほのぼのして見えます。浩美くんの人徳でしょうか？

神麻嗣子、神奈響子、保科匡緒が解き明かすシリーズものです。

徳利長屋の怪

はやみねかおるさんの『徳利長屋の怪　名探偵夢水清志郎ノート外伝』を読みました。

時代は幕末。
夢水清志郎左右衛門は、勝海舟に預けられた坂本竜馬からの手紙を受け取った。
竜馬は暗殺されたのだ。
夢水は、幕府軍と新政府軍の戦から江戸を守るため、江戸城を消してみせるという。
戦による悲しみが、これ以上生まれないように、勝海舟と西郷隆盛を相手に作ったからくりとは？

この時代にこういう風な考えを持っていた人がありえるかな？という気もしますが、
子ども達に訴えたい気持ちは分かるので、こんなものでしょうか？
からくりとトリックは面白かったです。

安楽椅子探偵アーチー

松尾由美さんの『安楽椅子探偵アーチー』を読みました。

小学五年生の及川衛が、自分の誕生日プレゼントのためにゲーム機を買いに行く途中で聴こえたあくび。
それは、確かに骨董品店の椅子から聴こえてきた。
ゲーム機の代わりに買った安楽椅子は、意思を持っていた。
どんな風に呼んでもいいと言うので、アームチェアだから、アーチーと名づけた。

彼は、衛のクラスで起きた謎を解いたのを初めに、天才美少女バイオリニストの消えたコサージュの行方、
外人墓地で暗号のやりとりをしていた女性の謎、アーチーに意識をもたらした二番目の所有者の安否
について解き明かしていく。

ちょっと皮肉屋で気難しいアーチーと、素直で柔軟な心を持つ衛のコンビが微笑ましく、
好奇心を刺激する魅力的な物語です。

薄闇シルエット

角田光代さんの『薄闇シルエット』を読みました。

タケダくんは、ハナとタケダくんの友人の前で、こんな年なんだからちゃんとしてやんなきゃ、
と結婚宣言をした。ハナは友人の手前うれしそうなポーズをとったが、新居探しなどの
結婚準備をしているうちに、気持ちが冷めていった。

したくない事を避けているうちに歩んでいる人生。
やりたい事をやろうと思って行動しても、押しの強い人に流され、どこか違っている。
周囲の人はどんどん変わっているのに自分は置いていかれるようなあせりと寂しさ。
何となく分かります。
不惑なんて嘘だよなーと思う今日この頃、とにかく、毎日を精一杯頑張ります。

消える総生島

はやみねかおるさんの『消える総生島　名探偵夢水清志郎事件ノート』を読みました。

映画に出演することとなった亜衣、真衣、美衣の三つ子と、無理矢理映画のロケに参加した夢水清志郎。
撮影場所は、万能財団社長が所有する離れ小島の総生島。
そこにある霧越館は、造りが複雑であるがゆえに中村青司に設計を断られたといういわくつきの館。
乗ってきたクルーザーは爆破され、連絡手段も絶たれてしまった。
人が消え、山が消え、とうとう島まで消えてしまった。

ある程度のからくりまでは解けたのですが、一番大掛かりなトリックまでは分かりませんでした。
注意深い人には分かるかもしれません。
「閉ざされた空間」モノですね。