興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

韓国の美しいことわざ

2022-12-11 | 韓国文化垣間見

先日、近くの公民館のイベントでの一展示として、「韓国のことわざ」を紹介する機会があり、諸資料からいくつかの韓国語のことわざをピックアップした。

たくさんのことわざの中から、とくに ‘美しい生き方’ に役立ちそうなことわざを、意図して集めてみた。
なぜなら「行く言葉が美しくてこそ来る言葉が美しい」ということわざが韓国にあるのだが、このような内容も表現も美しいことわざが、ほかにもあるのではないかと思ったからだ。

探してみて期待は裏切られなかった。人としてのあり方を教えてくれるもの、対人関係のヒントになりそうなもの、人情の機微に通じたものなど、いいことわざがいくつも見つかったのである。
イベントではこの中から九つほどを選んで、展示発表した。

イベントは終わったが、せっかく選び出したものなので、当ブログにも発表分を掲載し、さらに多くの方々にご覧いただこうと思った次第。誤りなどご教示いただければ、まことに幸いです。

(  )内は韓国語の直訳。その下に解説を加えた。(文責・余白)

가는 말이 고와야 오는 말이 곱다 (行く言葉が美しくてこそ来る言葉が美しい)
好意を持った言葉をかければ、相手からも好意を持った言葉が返ってくる。日本のことわざで似たことわざとしては、反語的に「売り言葉に買い言葉」がある。

시작이 반이다 (始めが半分だ)
物事は始めてしまえば半分やったも同然。何事もぐだぐだと日延ばしにせず、思い切って始めよう。
(むかしから日延ばし癖のあるわたし向け

누워서 떡 먹기 (寝そべって餅食い)
造作なくできることのたとえ。餅なら箸や茶碗がなくても、どんな姿勢でもたやすく食べることができることからの表現。日本のことわざには「朝飯前」がある。

한 시를 참으면 백 날이 편하다 (一時我慢すれば百日安らかだ)
カッときても一時(いっとき)言い返すのをがまんすれば、長引くケンカにはならない。

집에서 새는 쪽박 밖에서도 샌다 (家で漏れるひさご<瓢>は外に行っても漏れる)
食事作法でも何でも、家できちんとできていれば、外の気をつかう席に出てもきちんとやれるものだ。

하늘이 무너져도 솟아날 구멍이 있다 (空が崩れてもはい出る穴はある)
どんなに困ったときにも、かならず解決の糸口はある。希望を失うな。

둘이 먹다가 하나가 죽어도 모르겠다 (二人で食べていて一人が死んでも分からない)
食べているものがとても美味しいことを表す言葉。日本のことわざには「ほっぺたが落ちる」がある。

절 하고 뺨 맞는 일 없다 (おじぎして頬を打たれることはない)
謙虚な態度で接すれば、相手から侮辱や攻撃を受けることはない。

열 손가락 깨물어 안 아픈 손가락 없다 (十指のどの指を噛んでも、痛くない指はない)
十人の子供がいて、かわいくない子が誰一人としていようか。子供は一様にかわいいのが親の心情である。
                                        以上


<参考文献>『韓国の故事ことわざ辞典』(孔泰瑢 編/角川書店) 『韓国朝鮮ことわざ辞典』(金容権 著/徳間文庫) 『ミニマムで学ぶ韓国語のことわざ』(鄭芝淑 著/クレス出版) 鄭芝淑氏エッセイ「父とことわざ」(「ことわざ」第8号所収/ことわざ学会)

*最上部の写真はわが家の庭に咲いたフリージアというバラ。本記事に関係ありません。



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