Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

白金台でフレンチ 「カンテサンス」

2010-01-08 00:21:36 | 食べ歩き
友人から急におフレンチのお誘いを受けた。
場所は白金台の「カンテサンス」。

いいよ、と返事をしながら「カンテサンス」なんて聞いたことがない。
そこで早速調べてみると

レストラン カンテサンス Quintessence

あらまあ、ミシュラン・ガイドで3年連続、3つ星なんですと。
最近は香港で飲茶ぐらいしか食べていないので、というか元々ミシュランなどは縁がないのでちっとも知らなかった。

こういうのを猫に小判、豚に真珠と言うのだな、と思いつつ、平日昼間の白金台へ。

外苑西通りを松岡美術館の方へまっすぐ歩く。おしゃれなカフェやらスイーツ屋さんを横目に見つつ10分弱、目印のガソリンスタンドの所で小路に入りながら、すぐ隣にある店を見逃してしまった。それほどめだたない外観。ちょっと見には高級マンションの入り口にしか見えない。

入るとすぐに小さなウェイティング・スペース。
中もこじんまりと小さな店で、ダークブラウンを基調にした落ち着いた部屋。
ちょっとテーブルの間隔がせまくてせせこましい感じがするが、東京では仕方がないか。

この店は撮影禁止なので今回は写真なし。食べ物報告に絵がないのはつらい。

はじめに渡されるのは当然メニューだが、渡された重い表紙を開くと片面は真っ白。もう片面に懐石のようにお任せなのでメニューがないわけがびっしり書いてある。コンセプトはわかるけど、ちょっと演出しすぎかな。

待つことしばし、はじめに出されたのはサツマイモのスープとサツマイモのフィナンシェ。もうちょっと気取った名前が付いていたような気もするが、ウェイター氏の口上をフンフンと聞いているだけなのでいささか怪しい。スープは甘さよりも塩気が強い。1品目はふーん、って感じ。

2品目に出てきたのはこの店の売りらしい、山羊乳のババロア。下に敷かれた塩と、上にかけられたオリーブオイルを味わう一品とのことだが、素人の舌にはやはり山羊乳と上に乗った百合根の方が印象に残る。山羊と言うからシェーブルのような癖があるかと思ったババロアは予想に反してとてもクリーミーで食べやすい。ババロアというよりフレッシュチーズのよう。量がもうちょっと控えめでもいい。

3品目はノルマンディー(だったと思う)のなんちゃらで、ホタテとそばを使ったお料理。1つは大きなホタテにソバの実をつけて焼いたもの、もう1つはソバの実とホタテのヒモのリゾット。ホタテの火の入り方が絶妙で、リゾットの方も食感が楽しい。これはおいしいわ。

4品目はメインに入って魚。本日は大きなブリの塊をローストしたものとかで、これまたいい火の入り具合。なにやら凝ったソースが2種類かかっていたが、正直言ってこちらはそれほど感心せず。B級の舌にはインパクトがあまりない。

5品目、メインの肉はポーク・ロースト。長い時間をかけたこの焼き方が自慢のようでウェイター氏の説明にも熱が入る。確かに回りはカリカリ、脂っぽさは抜けて中はしっとりピンク色。ビーフよりポークの方が好きだ~。
付け合せの行者にんにくもおいしかったけど、はてどんなソースがかかってたっけ?

6品目、はじめのデザートはクレーム・オ・ココ。ココナッツ・ババロアにピスタチオのオイルとエスプレッソがかかっているのだが、ココナッツがオイルとコーヒーに負け気味。

最後、2つ目のデザートはメレンゲのアイスクリーム。メレンゲをわざわざ粉にしてアイスクリームにし、そこに海水のソースがかかっているとか。食べるとソースのわずかな塩気が甘さをひきたてて、これはおいしい。ただ最後のデザートにしてはプレゼンテーションにもうちょっと華があってもいいんじゃないだろうか。

全7品、ゆったりいただいていたらいつの間にか2時間半がたっていた。

平日の昼間とあって、店内のお客さんは9割が女性。フルコースをいただくともちろんお腹いっぱいだが、食べきれないと言うことはなく、女性にちょうどいいという感じだろうか。このコースで7875円なら決して損をしたとは感じない。

はじめの白いメニューから懸念したケレンみもその後はあまり感じず、ウェイター諸氏の説明も感じは悪くない。常連にでもなれば彼らとのやり取りも店の楽しさになるだろう。

食事を終えてコートを受け取っているとこの店のシェフが挨拶に現れ、ドアから見送ってくれた。
 35歳と言う年齢よりさらに若く見えるシェフ、心配そうに量はどうだったかと聞いていたが、まだいろいろと試行錯誤中なのだろうか。

実際、食事を終えてみて、シェフが最もこだわっているらしい素材への火の入れ方は本当にすばらしい。ホタテもブリもポークも、絶妙の焼き加減だった。
しかしいろいろ手をかけているらしいソースに思いのほかインパクトがなく、全体としてもおいしかったのだけれどすごく印象に残るものがない。絶対にここでまた食べたい!と思うものがどうも感じられないのだ。

ミシュランの3つ星から期待する華がいまいちないのもちょっと残念。使っている食器とか、デザートの盛り付けとか、工夫するところはまだまだあるように思う。

あるいはこのシェフ、実はもっと豪快でカジュアルなレストランの方が似合うんじゃないだろうか。フレンチの3つ星から勝手に繊細で華やかなものを期待するこちらが悪いのかもしれないけど。

まじめそうなシェフとスタッフの方々にはぜひもっとがんばっていただきたい。


(と、豚に真珠のくせにえらい上から目線の記事になってしまった。H嬢、これって辛口すぎますか。でも「おいしい」だけじゃつまらないでしょ。また誘ってくださいませ~。)


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コメント
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