
私が最も好きな大阪は晩秋です。
それは「御堂筋の銀杏」が色づくからです。
琥珀色のトレンチコートを着て
トパーズのネックレスをしてすっかり大人の装いです。
ひょうきんでボケとツッコミの大阪が最も変身を遂げる時。
大阪市の大動脈の御堂筋は
地下には地下鉄御堂筋線がひた走る。
ここは大阪のど真ん中。
御堂筋の銀杏並木は淀屋橋から難波の間の御堂筋沿いに
4列に植えられていてその距離は南北に全長4km。
道幅は4.4kmで大部分が南行きの一方通行の6車線。
その間を887本の銀杏が植えられています。

四季の彩りを見せてくれる銀杏は大阪のシンボルで
夏は青葉で緑の木陰。
琥珀色に輝いた後の
はらはらと散る風情が乾いた都会に潤いを与えてくれます。
秋も深まると、毎年のように
御堂筋のギンナン落しのニュースが全国に流れ
自由に拾っている風景を見て
どれほどの人が羨ましいと思っていることか。

ギンナンは茶碗蒸しに入れてもいいし、炒ってもいいし
焼いて食べても香ばしい。
食いしん坊の私は毎年拾いに行きたい衝動に駆られます。
御堂筋の銀杏に四季を感じながら、大阪商人は1年を過ごす。
「儲かりまっか?」 「ぼちぼちでんねん」
御堂筋の銀杏が落葉すると、大阪は木枯らしが吹く。