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イギリスのスター発掘のためのオーディション番組、「ブリテンズ・ゴット・タレント」に彗星のように現れたオペラ歌手、ポール・ボッツ。本書は、彼の半生を描いた自伝である。
オーディション番組をきっかけに成功したと聞くと、いかにも彼が幸運な男のように思ってしまうだろう。しかし、彼の人生は、不運と挫折の連続だった。
子供の頃、自転車で地下道の壁に激突し、前歯が割れたのを皮切りに、家族全員が乗っていた車が、居眠り運転の車に追突されたりと、これは怪我自慢かと思ってしまうくらい、彼が怪我をしたという話にはことかかない。彼がオーディションを受けた際に、携帯電話ショップの店長をやっていたのも、交通事故による高額な怪我の治療費を払うためだった。
学校も彼が安らげる場所ではなかった。深刻ないじめを受け、教師たちの中には、彼にいわれのない濡れ衣を着せる者もいた。
しかし、彼には歌があった。小さいころから聖歌隊に所属し、就職してからは、アマチュアのオペラ劇団で活動を続けた。オペラのトレーニングとイタリア語の勉強のために、休職をしてまでイタリア留学をしたこともある。そんな彼が、人生の中でたったひとつ掴んだ「ワンチャンス」。
彼がワンチャンスを掴んだのも、それまでの努力があったからだろう。努力しない人間には、幸運の女神は、決して微笑まないのだ。彼の物語は、夢を信じて、一生懸命やっている人にとって、大きな励みになるだろう。
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