海外で働こう 世界へ飛び出した日本のビジネスパーソン | |
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幻冬舎 |
アジアを中心に海外ビジネスを積極的に進めている25人の若き経営者の物語、「海外で働こう」(西澤亮一:幻冬舎)。
我が国は、長い不況に苦しみ、少子高齢化でマーケットは萎無一方。最近は、アベノミクスの影響で、見かけ上経済が上向きになっているように見えるが、その実情は、エネルギー政策に腰が定まらないため、膨大な量の国富を海外に垂れ流し、政府財政も多赤字。苦し紛れに消費税を上げてはみたものの、所詮は付焼刃的療法。逆に経済に与える影響の方が心配される。
こんな我が国の情勢ではあるが、その一方で世界はますますグローバル化していく。これからビジネスにおける活路を見出すとしたら、もう海外しかないだろう。特にアジアはこれからの成長を考えると、極めて有望なマーケットである。
当然のことながら、海外進出に当たっては、その国とWin-Winの関係を目指す事が必要である。本書に登場する人々の語る、ビジネスを通じて、その国にも貢献したい、その国との架け橋になりたいといった志は素晴らしい。
ただ、若干気になったのは、アジアでの人件費の安さについて触れていた人が何人かいたことだ。コストは経営において重要なものではあるが、いまアジアの国は伸び盛りである。将来人件費が安くなくなったら撤退するのだろうか。そうあからさまな言い方ではないものの、衣の下から鎧が覗いているような気もする。
もちろん、経営とは二律背反、すなわち白か黒かで決められるようなものではない。しかし、進出先に貢献しようと言うのなら、ここまで考えた長期的な戦略があっても良いのではないだろうか。事業進出を通じて、その国が発展するお手伝いをする、それこそが、本来のWin-Winだろう。
ともあれ、アジアは今元気である。アジア諸国とビジネスを通じて、架け橋になりたいという志のある方には、大いに参考になるだろう。
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