文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:午前零時のサンドリヨン

2015-05-17 18:32:21 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社

・相沢 沙呼

 主人公の須川くんが心奪われたのは、酉乃初というちょっと変わった同級生の美少女。無口で、ぶっきらぼうで、無愛想。人を寄せ付けない感じで、いつも憂鬱そうに雲を見ている。しかし、マジックの腕は一流。彼女の遠縁にあたるマスターが経営するレストラン・バー「サンドリヨン」で、毎夜その腕を披露している。学校での彼女とは別人のように、優しく自信に充ち溢れた表情をして。本書は、そんな初がホームズ役を務め、須川くんがワトソン役となって、学園を舞台に、次々に起きる奇妙な事件を解決するという、青春学園ミステリーだ。

 本書は、連作短編形式になっており、4つのエピソードから構成されている。最初は、図書室の書架で、上から3段目の雑誌だけ、真ん中の1冊を除いて、すべて逆向きになっていた事件。次に、初が忘れた第二音楽室に忘れたマジック用のナイフが、机に突き刺さっていて、机にはfffの文字が刻まれていたうえ、女生徒のハンカチが盗まれたという怪盗スリーエフ事件。3つ目は、落し物として届けられていた手帳に、発表前の英語のテストの点数がメモされていた事件。そして、最後に出てくるのは、学校のサイトに、自殺した生徒藤井綾香の幽霊が現れたという事件だが、この話が全体の締めくくりともなっている。

 ミステリーといっても、殺人のような凄惨な事件が起こるわけでもない。描かれているのは、多感な少女たちの悩みや苦しみ。そして、孤独を好むように見えながらも、実は、寂しがりやで傷つきやすい、初の本当の姿だ。ミステリーを横糸に、初と須川くんとの関係を縦糸に編み上げた、青春ミステリーの秀作と言っても良いだろう。

☆☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。
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