文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

電気主任技術者1、2種の試験日程

2015-05-04 21:57:13 | 資格試験一般
OHM (オーム) 2015年 05月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
オーム社


 今日アマゾンから届いた、OMM 2015年5月号に、電気主任技術者1、2種の受験スケジュールが掲載されていた。1次試験が、9月5日(土)で、2次試験が11月22日(日)だそうである。私が電験1種に合格したのは、確か40歳くらいだったろうか。1発合格だったが、その後活用する機会がほとんどなかったのが残念だ。

 ちなみに、1種はすべての事業用電気工作物の保安の監督が、2種は170kV未満の事業用電気設備の保安の監督ができる。

 電気関係の仕事をしている技術者のみなさん。ぜひ、一念発起して、この資格にチャレンジしてください。

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書評:夢を売る男

2015-05-04 21:06:43 | 書評:小説(その他)
夢を売る男 (幻冬舎文庫)
クリエーター情報なし
幻冬舎


 百田尚樹の「夢を売る男」(幻冬舎)。自費出版ビジネスの裏側を描いた作品である。

 主人公の牛河原勘治は、元一流出版社の編集長で、今は丸栄社の編集部長。彼の仕事は、新人賞という餌でつったカモに、言葉巧みに誘いかけ、相場よりかなり高い費用で、自費出版をさせるというもの。タイトルは、「夢を売る男」だが、その実態は、「夢を食い物にする男」である。

 この作品から読みとれるのは、次の3つのことだ。まずは、出版に関係する人間に対する厳しい批判。

「小説を書く奴なんて、たいてい頭がおかしいんだ」(p35)

「丸栄社に原稿を送ってくる奴の半数近くが、心に闇を抱えている」(p129)

「一部の人気作家を除いて、大半の作家がほとんど読まれもしない小説をせっせと書いている」(p37)

「売れない作家にちゃんとした大人なんてまずいない。たいていが大人になりきれなかったガキみたいな連中だ」(p179)

「呆れるのは、純文学家の編集者の中にも、自分は文化的な価値ある仕事をしていると勘違いしている馬鹿が少なくないことだ」(p186)

「しかしそれ(注:創造と評論は別次元のものということ)が分かっていない書評家が多い。好き嫌いの感想で留めておけばいいものを、小説の技術論にまで口を出す。自分は何もかもすべてわかっているみたいな態度で、上から目線で作家の作品を評価する」(p229)


牛河原クン、まさに言いたい放題だが、この歯に衣着せない物言いの中には、作者の今の出版界に対する危機意識と苛立ちが透けて見えるような気がする。しかし、ここまで言っても大丈夫なのだろうか。

 次に読みとれるのは、自費出版ビジネスの悪どさだ。冒頭でも少し触れたが、丸栄社では、新人賞に応募してきたものの虚栄心をくすぐり、実際には屑のような作品を、ジョイントプレスという名目で、自費出版させる。ジョイントプレスという言葉からは、著者と出版社が費用を折半して本を出すというような響きがあるが、実際には、本来より高い費用を払って自費出版しているに過ぎない。牛河原が、口八丁で、巧みに作家志望者から金をむしり取る手口は、物凄いリアリティがある。あとがきによれば、この作品に登場する丸栄社には、モデルがあるということだから、それも当然なのかもしれない。

 そして、もうひとつ読みとれるのは、この作品には、ビジネス小説として側面もあるということ。丸栄社のビジネスモデルは、とても知財で保護できるようなものではないので、儲かると見れば、当然追従者が出てくる。この小説に登場するのは、狼煙舎という出版社だ。丸栄社より、割安に出版を請け負うが、作りはおそまつ、印刷する部数もごまかし、書店への配本もほとんどしていない。丸栄社の商法も詐欺まがいだが、こちらは完全な詐欺だ。牛河原が狼煙舎のビジネスをつぶすためにとった方法がまたすごい。

 牛河原がすごいのは、詐欺まがいの商法とは言え、主観の問題意外のところでは嘘を言わない。だから、詐欺で立件するのは困難だろう。年金暮らしの老人に対しては、自費出版を持ちかけないといったような矜持もある。この矜持が、作品を、ちょっといい話で終わらせているのだが、いくら最後にいい話を持ってきても、この商売はやはり褒められたものではない。

 最近書店に行って思うのは、昔に比べてクズ本が多くなったということ。専門的な本は、どんどん店頭から消えていく。しかし、クソみたいな本でも、何かの拍子に売れることがある。つまらないケータイ小説や血液型の本などがベストセラーになったりするのだ。

 その一方で、専門的な本が、なぜか売れるという現象が起こることもある。例えばトマ・ピケティの「21世紀の資本」。日本語版は十数万部出ているようだが、700ページ以上もあるこの本を、読みとおした人が、果たしてどれくらいいるのだろうか。それでも、この現象が、知が重視されなくなったと囁かれる時代に、知に関するあこがれが残っていることの証だとしたら、まだ出版文化に希望は持てる。何が売れるか分からないこの時代、出版社は大変だろうが、ぜひ良い本を出すように努力を続けて欲しいものだ。

 ところで、知り合いが、この丸栄社のモデルとなった出版社と思われるところで、少し前に小説を出した。アマゾンなどでも売っていて、書店でも見かけたという情報もあるのだが、果たして、どのくらい費用を負担したのか、この小説を読んで少し気になった。

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※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。


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