文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
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書評:哀しみの終着駅―怪異名所巡り〈3〉

2017-11-27 11:04:34 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
哀しみの終着駅―怪異名所巡り〈3〉 (集英社文庫)
クリエーター情報なし
集英社

・赤川次郎

 主人公は町田藍というバスガイド。元々は業界最大手の「Hバス」に勤めていたのだが、リストラにあい、現在は最弱小の「すずめバス」のガイドをしている。しかし、彼女には幽霊が見えて話せるという一風変わった特技があった。その能力を活かした「幽霊ツアー」が、大人気という設定である。

 タイトルを見ると、〈3〉という数字が入っているので、これもシリーズ化されているのかとちょっと調べてみた。するとつい最近新書版で9巻目が出ており、かって「霊感バスガイド事件簿」というタイトルでテレ朝系列のドラマ化もされているようである。ちなみに、主演は菊川玲。

 収められているのは以下の5つの短編。

・忠犬ナナの伝説
・哀しみの終着駅
・凡人の恨み
・地獄へご案内
・元・偉人の生涯

 幽霊は出てくるのだが、どれも恐怖で背筋がぞくぞくしてくるような話ではない。むしろその幽霊話に関連して、人間の哀しさ怖さといったものが描かれている気がする。

 ただ「地獄へのご案内」での設定はちょっとヘンかな。定年間際の田舎町の警察署長がK国大統領の先導をしていた時に道を間違えて、自殺してしまった話だ。よく白バイ隊員が駅伝などの先導している場面をテレビで目にするが、その階級は巡査か巡査部長クラスである。しかし警察署長になると最低でも警視クラスだ。いくら県警本部長が引退の花道を飾らせたいからといっても、署長自ら、白バイを運転して大統領の車を先導するなんてまずありえないのではないかと思う。また、道を間違えた原因だが、もしそんなことになっているんなら、警官が絶対に白バイ運転しちゃだめでしょとツッコミたくなるようなものだった。

 ともあれ、赤川次郎は著作が沢山ありすぎて、これまで「セーラー服と機関銃」のシリーズと大林宣彦監督による映画の「新尾道三部作」の原作である「ふたり」、「午前0時の忘れもの」(映画タイトルは「あした」)くらいしか読んでないが、もっと他にも読んでみたいなと思ったのは確かだ。 


☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。
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