文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:カテゴリーキング

2017-11-03 10:15:18 | 書評:ビジネス
カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberはなぜ世界のトップに立てたのか
クリエーター情報なし
集英社

・アル・ラマダン、 デイヴ・ピーターソン、 クリストファー・ロックヘッド、 ケビン・メイニー、 (訳)長谷川 圭

 「カテゴリーキング」とはなんだろう。本書によれば、ビジネスにおいて「それまでにない新しいカテゴリーを創り」、「そのカテゴリーの中でトップに立ち」、「その座を維持し続ける」ことのようだ。本書は、「カテゴリーキング」になるにはどのようにすればよいのかが説かれている。

 「カテゴリーキング」になることこそ、そのビジネスを大きく発展させるための秘訣だ。確かに、どのようにカテゴリーを創りだすのかということは、その事業の発展性に大きな影響を与えられるだろう。

 このカテゴリー創造に失敗した例として、すぐ頭に浮かぶのが、電力会社がかって参入したアステルというPHS事業だ。PHSは簡易型携帯と呼ばれて、携帯電話のカテゴリーに入っていたのだが、「簡易型」では普通の携帯に勝てる訳はない。いかにも商売のヘタな電力会社らしいが、結局どこも撤退という羽目になってしまった。要は、カテゴリーをうまく設計するということがいかに重要かということだろう。

 しかし、カテゴリーをつくって安心していてはいけない。次にPOV(ポイント・オブ・ビュー)をつくるという作業が待っている。POVとはカテゴリーに関する物語であり、事業を進めていくための戦略ともなるものだ。

 その次に行うのが、モビライゼーション文書の作成ということだが、実は、このモビライゼーション文書というのがよく分からない。なんとなく想像はつくのだが、本書を読んでいても、ググってみてももうひとつはっきりしないのである。この辺りは翻訳書の限界と言えるかもしれない。この辺りは、もっと訳注という形で解説を入れて欲しかったと思う。
 
 ともあれ、本書の通りにすれば絶対にうまくいくという保証はないが、それでも成功の確率はかなり高くなるのではないかと思う。もちろん、成功しても、社会の変化や技術の進歩に合わせて、カテゴリーの中身は変えていく必要があるのは言うまでもないだろう。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。
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