文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:片思いレシピ

2017-12-09 12:49:56 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
片思いレシピ (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社

・樋口有介

 本書は、樋口有介による「柚木草平シリーズ」の一冊であるが、他の作品とは少し性格が異なっている。もちろん、名探偵を務めるのは、柚木草平なのだが、彼が直接作品の中で活躍している訳ではない。変わって主役を演じているのは草平の愛娘でまだ小学生の加奈子なのである。

 つまりは、一種のスピンオフ作品のようなものなので、草平は作品には直接登場しない。それでも、草平は、加奈子と電話で話しているし、事件の調査自体も草平が請け負っている。しかし最後に真犯人を得意そうに暴露する役は、草平に事件の調査を依頼した、加奈子の親友の妻沼柚子の祖父。ちなみに、大地主で元学生運動の闘士らしい。

 事件は、加奈子と柚子が通う塾の学生講師が殺害されたというもの。ところが、この講師が、柚子にこっそりきのこチョコをあげていたことが判明。確かに柚子はお人形のように可愛いが、自分にはくれなかったと加奈子はちょっとおかんむり。小さいぞ、加奈子・・・ってまだ小学生か(笑)。

 もちろん最後には、草平により事件は見事解決される(ただし、柚子の祖父がまるで自分が解決したかのように話すのだが(笑))。

 ところで、タイトルにある「片思い」だが、どうも、加奈子には気になる男の子がいるようだ。それは柚子の兄の翔児(中学生)。さすがに、あの草平を父に持つ加奈子が気にしているだけあって、相当の変わり者のようだが、彼が入院した際には彼女らしき女の子が病室にいた。果たして、加奈子の初恋の行方はというところだ。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。



 
コメント
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