文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:出会ってひと突きで絶頂除霊!

2017-12-24 09:34:02 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
【下セカコラボSS付き!電子特典版】出会ってひと突きで絶頂除霊! (ガガガ文庫)
クリエーター情報なし
小学館

・赤城大空

 これだけおバカな作品は久しぶりに読んだ。もちろんこの「おバカ」というのは、ぶっ飛んだアイディアに対する一種の褒め言葉である。秀逸なのは、このタイトル。どこかのAVに似たようなのがあったような、無かったような・・・。いやこれ、例の官能小説専門のフ〇ンス書院ではない。あの小学館から出ているガガガ文庫の一冊なのである。だからタイトルからヘンな期待をしすぎてはいけない。といってもある程度は期待してもいいかな(笑)

 作者は、深夜アニメにもなった「下ネタという概念が存在しない退屈な世界」を書いた赤城大空。なにしろ美少女が頭からパンツ被って大暴れ、「君は変態仮面か何かか?」。

 さて、この作品の紹介に移ろう。主人公は、都立退魔学園に通う高校一年生の古谷晴久という少年。退魔学園というのは、退魔師を養成する学校である。晴久は、そこのDクラスに所属する落ちこぼれなのだが、とんでもない能力を持っていた。

 それは、「絶頂除霊」という能力である。快楽媚孔というツボ(決して経絡秘孔ではない)を付くと、人間でも、霊でも一瞬にして絶頂に達するという一種の呪いだ。霊の場合は、これを喰らうと、絶頂したあげくに昇天というわけだ。

 だれですか。そんな能力欲しいという人は。相手が美女や美少女なら眼福というものだが、本書中にもあるように、これがおっさんだとおぞましいことこの上ない。誰が好き好んで、おっさんの絶頂シーンなど見たいものか。

 そんな主人公がチームを組むのは、美少女二人。しかし、ここで羨ましがってはいけない。美少女のうちの一人である烏丸葵は、女なのに女好きのドS,ド変態。相手が美女もしくは美少女の時に限り、強力な緊縛術が使えるのである。つまり、主人公と組めば、美女を縛り上げて絶頂させるという・・・。いや、相手がいくら霊でも、それは道徳的にまずいでしょう(笑)。

 もう一人のメンバーである宗谷美咲の方は、これも呪いである淫魔眼持ち。彼女には、視た相手の性癖がダダ洩れになってしまうのだ。だから、知られると恥ずかしいあんなことやこんなことが・・・。おまけに退魔の名門の家のお嬢様で、一応色々な術を器用にこなすものの、どれも威力の方はさっぱり。完全に戦力外である。

 そんな彼らが挑む怪異が、「口裂け女」ならぬ「乳避け女」改め「乳裂き女」。ある少女が貧乳のコンプレックスから怪異に落ちてしまったのである。「乳避け女」の段階では、巨乳を恐れて逃げていたものが、「乳裂き女」になってからは、敵視して襲ってくる。その強さは、プロの退魔師さえも寄せ付けない。

 この怪異に対抗する手段が、「絶頂除霊」という訳だが、なんと怪異の快楽媚孔は、断崖絶壁ながらも双丘(なんか矛盾している表現だな)の中心部。果たして、彼らは快楽媚孔をツンツンして、この怪異を退治できるのか。

 このおバカな設定は笑いの連続。この終わり方だと続編がまだまだありそうだが、たまにはこんな本を読んで大笑いするのもいいのではないかと思う。

☆☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。
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