文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
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書評:緊縛の文化史

2018-03-11 10:07:47 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
緊縛の文化史 The Beauty of Kinbaku
クリエーター情報なし
すいれん舎

・マスター“K"、(訳)山本規雄

 本書は、「緊縛」という視点から、日本文化を眺めたものだ。著者は、アメリカ人のようだが、キリスト教文化の影響だろうか、この手の本は、匿名でないとあちらでは出せないらしい。

 本書は、「緊縛」の歴史や、「緊縛文化」に重要な貢献をしてきた「緊縛マスター」たちの紹介、ハウツー緊縛など、なかなかよく日本文化を研究していると言えるだろう。日本文化にあこがれる外国人は多いが、まさかこんなものにまであこがれる人がいようとは思わなかった。

 そういえば、昔何かの週刊誌で、緊縛を取材してた外国人女性記者が、自分も体験したいといきなり下着姿になって自分を縛ってくれと言ったという記事が載っていたのを思い出した。つまりは緊縛はサブカルながらも、世界的にあこがれる人がいるということだろうか。

 しかしこうしてみると、「緊縛」と西洋の「ボンデッジ」とは似て非なるものであることが分かる。「ボンデッジ」とは単なる変態さんの一種(ファッションもあるが)であるのに対して、「緊縛」とはその変態を芸術(アート)の域まで高めたものではないかと思う。さすがは、クールジャパン、どんなものにでも「道」を見出すその精神は世界に冠たる日本ならではのものだろう。

 しかし本書で一つだけ不満が。モデルになっているのがみな白人女性なのである。みんな派手で大味で、なんだかとっても大らかな感じなのだ。和の場合に漂う淫靡さといったものはあまり感じられない。情緒だとか侘・寂(元々あるのか?)といったようなものも漂ってこない気がすると思ったのは、私の勘違いだろうか。やっぱり、緊縛は和に限る。

 思わず噴き出したのは、胡坐縛りの項目のところだ。なかなか綺麗な白人女性が胡坐縛りで緊縛されている。ここに次のような使用上の注意らしき記載がある。

<最後に注意して頂きたいのだが、この「ハウツー」に掲載した図解写真に写っているモデルはかなりきつく締め付けられても楽しむことのできる人だったが、・・・(以下略)>(p301)

 「楽しめるんかい!?」 まあ、人に迷惑をかけなければ、趣味をうんぬんする気はないが・・・。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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