・平井和正
・ハヤカワ文庫JA
書店で平積みになっているのを見かけて、あまりの懐かしさでつい買ってしまった本書.。昔このシリーズはかなり読んだはずだが、完全に内容は忘却の彼方。今回読んでいても、ほとんど初見のような気持ちで読めた。
当事、虎4さんがお気に入りのキャラだったことはなんとなく覚えているんだけど、この巻には残念ながらまだ彼女は出てこない。何がきっかけで出てきたのかももはや忘れてしまうくらいの遠い記憶(笑)。
ところで、内容をかいつまんで説明しよう。美人でグラマラスな青鹿先生の勤務する博徳学園(世間では悪徳学園と称されているらしい)という私立中に犬神明という少年が転校してくる。犬神明って、私の脳内では、高校生くらいのイメージだったが、まだ中学生だったとは驚き。人間の記憶とはあてにならないものだ。
この犬神明、どうも不良たちに目を付けられやすい体質のようで、何かにつけ危ないやつらに絡まれる。この博徳学園にも羽黒という暴力団の大幹部を親に持つ不良学生がいて、その子分たちが好き勝手にやっているという設定だ。
何しろ、犬神明が最初に転校してきたとき、自己紹介のために、自分の名前を黒板に書いていると、刃渡り20センチもあるナイフが飛んでくる始末。これって、完全な銃刀法違反だし、黒板に刺さったのだから器物破損である。今のようにネット時代においては、すぐにでも拡散しそうな事件だ。
基本的には、明と不良たちとのバトルが本筋であり、それに巻き込まれて監禁された青鹿先生を救い出すというのが基本的なストーリーだが、その裏側には人間の本性は残酷だという思想が潜んでいるように思える。
ところで、この青鹿先生 美人でナイスバディだが ショタでちょっと知恵が足りないじゃないかな。何しろ 暴力団の家にのこのこ出かけて監禁されたうえ、なんと不良生徒の羽黒に5回も・・(以下略)
やはりこのシリーズは生頼範義さんのイラストでないとしっくりこない。ちょっとググってみて、平井さんも生頼さんも同じ年に鬼籍に入られたんだと知りびっくり。(平井さん2015年1月、生頼さん2015年10月)昔は、生頼さん描く青鹿先生の裸体イラストに悶えた少年たちも多かったのではないだろうか(生頼さんの描く人物は、どれもちょっと濃い目だが(笑))。
犬神明はこの巻で羽黒と相打ちになったような形で死んでしまったかに見える。しかしそう簡単に話は終わらない。何しろ不死身のウルフガイだし、続刊も結構あるし・・・
ところで、ウルフガイシリーズには、ちっと変わり者のおっさんが主人公の犬神明を務めるアダルトウルフガイシリーズというのもあるが、本作にも登場したもう一人のウルフガイ神明。アダルトシリーズの方は、彼のイメージが結構強かったように思える。果たしてこの後物語にどうかかわってくるのか(以前読んでるはずなのだが、まったく記憶にない)。
でも「正しい電気の知識普及委員会」(自称)としては、やっぱりヘンな表現を見つけてしまった。「高圧電流柵」ってなんやねん?普通に「高圧電気柵」と書けばいいと思うのだが。
☆☆☆☆
※初出は、
「風竜胆の書評」です。