おべんとうの時間 3 (翼の王国books) | |
(写真)阿部了、(文)阿部直美 | |
木楽舎 |
これでいよいよシリーズ3巻目。料理の達人とかではなく、普通の人の普通のおべんとうを取材するという企画だ。収録されているのは北は北海道から南は沖縄まで39人のおべんとう。
本書を読んで思ったのは、おべんとう一つにもいろいろなドラマがあるものだということ。たかがべんとう、されどべんとうと言ったところか。
おべんとうにもいろいろなこだわりがある。
「僕にとって、弁当といったらおにぎりです。」(p65)
これは北海道にある「砂澤ビッキ アトリエ3モア」の名誉館長、川上實さんの言葉だが、父親が木材店をやっていたので、店の手伝いで雪深い中での作業。そんな状況で食べるものといえば握り飯以外に考えられなかったということだ。
興味を持ったのは、和歌山県のみなべ町役場に勤める中早良太さんの勤務部署だ。その名も「うめ課」。有名なブランド梅である「南高梅」の産地で、町民の8割は梅に関わる仕事をしているという。でもこの課、その一端は書かれているものの、普段どんな仕事をしているのかちょっぴり気になる。中早さんの実家も梅農家で、奥さんの作る弁当に「梅干しと卵焼きは入れて欲しいなあ」(p73)といっても、塩分を気にしたらしく、入っていないときもあるようだ。「残念!」
どれをとっても、豪華なレストランで出てくるような食事ではない。だからこそ子供たちや連れ合いへのおべんとう作りに対する多くのヒントが詰まっているのではないだろうか。
☆☆☆☆