本書のキモを一言で言えば、「人の能力には限界があるので他人の力を借りよう」ということ。いくら優秀な人でも、自分一人だけでは独善的な考え方になってしまう。何でも自分でやろうとせず、能力にしても人脈にしても人の持っているものを借りれば、そこにレバリッジがかかり、タイトルのように、自分一人でやっているのとは比較にならないくらいの成果を出すことができるのである。
こういう経験はないだろうか。何かを自分一人で考えていた時にはいい考えは出なかったのに、誰かと議論していると、うまいアイディアが浮かんできたことが。これは他人の頭を借りる一つの例だ。
いま、ネットでは様々な情報が溢れている。ちょっと検索をかければ、簡単に多くの情報を手に入れられる時代である。しかし本書でも触れているように、有益な情報を手に入れるには、検索力や質問力が必用なのだ。
何を取り入れて、何を取り入れないかは自分で判断する必要はあるだろう。また、人の知恵を借りる前にある程度は自分で考えて置く必要もある。宗教ではないが、「絶対他力」というのは危険だ。それだとロボットや盲信者・狂信者と変わらないだろう。要は自分の頭を使う必要のないところは、うまく人の頭を使うということだろう。
管理職になったら、ぜひこの考え方を取り入れることを勧めたい。係長クラスならともかく、課長クラスになれば、そうでないと、幅広い業務をこなしていけないだろう。指示は出すが、具体的なやり方・進め方は部下に任せないと、沢山のことは成し遂げられない。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。