文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

ルビンの壺が割れた

2020-03-18 14:04:07 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 主人公の水谷一馬が、たまたまフェイスブックで見つけた昔の恋人・結城未帆子。30年近く前、2人は結婚する筈だったが、彼女は結婚式に現れないまま失踪してしまったのだ。

 ストーリーは、二人のメッセージのやり取りという形で進んでいく。最初は、元恋人だった二人が、昔を懐かしんでメッセージのやり取りをしているのかと思ってしまう。なぜ彼女は式を控えて失踪したのか。この事情が、このやり取りで次第に明らかになるのだと思っていた。

 確かに、未帆子が失踪した事情は明らかになるのだが、ストーリーは思ってもいないような意外な展開を見せる。最後に書かれていることを引用してみよう。

「とっとと死にやがれ、変態野郎!」(p170)



 どちらの科白かは想像に任せたい。

 ここで30年近くという期間が活きてくるとは思わなかった。しかし、出てくる人物がこれだけ裏の顔を持っているという作品もあまりないだろう。要するに、人を簡単に信じてはいけないということか。

 僅か170ページの中に、これだけの意外性を含んでいるような作品は初めてかもしれない。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

コメント
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