新型コロナウィルスについては、人類が初めて遭遇する病原体であり、まだまだ分からないことが多い。しかし、全世界を上げて知見が積み上げられており、それに照らすと、感染対策として間違っているものがあるという。
例えば、レジのビニールカーテンだが、「客→従業員」の感染予防策にはなっているかもしれないが、ウィルスはプラスチックの上で最大3日間生存できるので、頻繁にふき取りをしないと「客→客」の感染防止にはならない(pp10-12)。
よくこれは、間違った例としてテレビなどで良く見聞きするのだが、次亜塩素酸などの消毒液を間違って使うのはだめだ。これを吸い込んだりしたら、却って危険なのである(pp23-26)。
私など、消毒薬は、エタノール100%がいいと思っていたが、実はあまり濃度が高すぎてもいけないらしい。CDC(米国疾病管理予防センター)によれば、適正なのはエタノール60%~95%だと言う(p54)。
これは本書のあちこちで述べられているし、他の所でも聞いた覚えがあるのだが、マスクは、他人にうつさないためにするもの。だから人のいないところで律儀にマスクをかけていても意味がない。
あまり意味のないことをやっても仕方がない。寺田寅彦ではないが、何事も正しく恐れることが大切だということを再認識した。もちろん、ここに書かれていることは、知見が積み上げられると、将来的には変わる可能性がある。しかし、あまり意味のないことに力を入れても仕方がないと思う。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。