文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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解析入門

2020-09-27 14:35:47 | 書評:学術教養(科学・工学)

 

 本書は、放送大学のテキストの一つだ。大学の理工系の学部に進めば、解析学の講義があることが多いだろう。私も専業大学生のころ、1回生で解析に関する授業があったことを覚えている。内容は実数関数から複素関数の初歩まで。自分の専業学生の頃を思い浮かべると、内容的には2回生の前半くらいまでだろう。

 タイトルに「入門」とあるので、それほど高度なことはやらないだろうと思い、頭のリハビリのためこの科目を選択したのだが、結構苦労した。本書で取り扱っていることを完璧に理解していれば、工学系の解析学には苦労しないだろう。

 なぜ、一度勉強したはずなのに苦労したのか。昔過ぎて記憶に全く残っていないというわけではない。複素関数の扱いは、コーシーの積分定理、ローラン展開、留数定理と私が勉強してきたこととそう違いはないが、実数関数の扱い方が結構違うのだ。特に「切り口」という観点から関数を見ていくが、あまりなじみがなかったので、慣れるまで時間がかかった。

 おそらく、タイトルに「入門」とはあっても、この内容に精通している人は理系の人間でも少ないと思う。書かれてあることがすらすらと理解できるようなら、数学の能力に自信を持ってもいいと思う。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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