文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

ホーンテッド・キャンパス だんだんおうちが遠くなる

2022-02-15 12:51:59 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 

 この「ホーンテッド・キャンパス」シリーズも、これが19弾目。この出版不況の折、良く続いているが、それだけ人気があるのだろう。内容は雪越大学オカルト研究会のみんなが、怪異な事件に挑むというもの。部員には3人ほど、いわゆる視える人がいるのだが、霊を払う力は誰も持っていない。だから彼らは事件の背景を明らかにすることで、事件を解決していくのである。なお、雪越大学のモデルは、彼らが住んでいるのが雪国なので、新潟大学と思われる。新潟は作者の出身地でもある。

 そしてこのシリーズのもう一つの肝は、視える人の一人である、八神森司と灘こよみ(彼女は視えない人)とのラブコメである。実は二人は大学では同級生なのだが、森司は1浪して大学に入っている。そして二人は同じ高校だったことからこよみは森司のことを「先輩」と呼んでいる。傍から見ると二人はお互いを好きなことは明らかなのだが、どちらも「草食系」。なかなか目に見えるような進展は見せないが、部員の間では将来確実に結婚すると思われているので、亀の歩みのように少しずつ進んでいるのだろう。帯には「青春オカルトミステリ」と書かれているが、ほんとそんな感じだ。

 さてこの巻に収められている話は次の3つ。

〇水晶の飾り窓
 売れっ子のタレント占い師の如月妃映だった蒔苗紀枝は、ドラッグストアチェーン「マキナ」の創業者の息子と結婚していた。オカ研のメンバーは彼女の相談を受ける。彼女は家の中で、自分が死んでいる姿を見るようになったという。

〇だいすきな祖父母
 百々畝凪は、祖母の例を見るが別に怖くはないという。しかし、ルームシェアをしている従妹の夏海は祖母がものすごく怒っているという。また、これとは別に鳩貝大樹とその弟は、最近同居していた祖父が亡くなり、その弟といっしょに、祖父の幽霊を見るようになった。二人は祖父は笑顔に見えるのだが、母は祖父がものすごく怒っているという。

〇四谷怪談異考
 「劇団箱庭座」で主演女優に抜擢された石渡紫乃譜の周りで怪異な事件が起こり始める。SNS用に撮った自分の写真の腕が腕が多く映ったり、容貌が不気味になったりするのだ。

 オカ研のメンバーは、事件の裏にあるものを解き明かすのだが、どの事件もその真相は驚くようなものだった。しかし雪国だと、屋根の雪かきをしないと、雪の重みで、ドアが開かなくなったりするらしい。おまけにこよみの父がぎっくり腰になり、灘家は男手がなくなったので、森司が雪かきを買って出る。その流れで、灘家に泊ることになった森司君は、コヨミちゃんと同じ屋根の下にいるとどきどき。こんな感じで二人の仲は進んでいくようだ。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする