この話も、いつものように平次と子分の八五郎との掛け合いから始まる。八五郎、平次にこんなことを言う。、
「羨ましい野郎があるもんですね、親分」
なんでも、生形の伊三郎と言う男のところに年季明けの女郎が飛び込んできたというのだ。
ここから話は、質屋・油屋・両替商を兼ねている大金持ちの中谷貫三郎と言う男の話に移る。こちらは、誰袖華魁という江戸一番といわれる華魁を請出して後添えにしたというのである。そしてこの貫三郎には、前妻との間に、お柳、お藤と言う二人の娘があった。お柳は誰袖華魁と歳は2つしか違わず、出戻りだが共用豊かな娘であった。妹のお藤は透き通るような娘で笑うととても可愛らしいという。ところがこの誰袖が殺される。首には凶器の縮緬の手ぬぐいが巻かれていたという。
この事件を平次は解決するのだが、この作品には華魁に対する一般的な考えに対する、作者の批判のようなものが見え隠れする。平次は華魁に対して批判的だし、かって、華魁は高い教養を持っていると言われたが、この話には、それが実は底が浅かったと言っているようなところが伺えるのだ。吉原で位が高いといっても、所詮は籠の鳥。吉原の客は、吉原の廓主たちのイメージ戦略に踊らされていたのだろう。
最後に平次が謎解きを披露するが、それは驚くようなものだった。大どんでん返しに読者はびっくりするのではないだろうか。
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