主人公は元冒険者のベルグリフという男。若いころに右足を失い冒険者を引退した。そんな彼が、女の赤ん坊を拾った。その子を自分の娘として育て、女の子の名前はアンジェリン。12歳の時、父親と同じ冒険者の道を選び都に出る。
なんと、アンジェリンは「黒髪の戦乙女」の二つ名を持つSランクの冒険者となっていた。二つ名とは、自分でつけるものではなく、活躍した冒険者を、周囲がそう呼び始めるものだ。少年のようだった彼女だが、体つきも女性らしくなり、髪の毛も長くなっている。彼女はお父さん大好き娘なのだが、長期休暇を取って、ベルグリフのところに帰ろうとする度に、彼女でなくてはこなせない様な依頼が入ってダメになる。ちなみにベルグリフの二つ名をアンジェリンは「赤鬼」といっているが、これはアンジェリンが言っているだけだろう。なにしろ若くしてEランクで引退したベルグリフに二つ名があるとは考えられない。
お父さん大好き娘というのは、いくらお話の中だといってもものすごく貴重だろう。父親は娘が可愛くって仕方がないのに、娘の方は年頃になると父親を避けがちなのだ。
やっとベルグリフのところに帰れると思ったら、今度は伯爵家の3女・セレンが盗賊に襲われているところを助け、危篤の父親にセレンを会わせるため、来た道を引き返すことになり、またまた帰省はおあずけに。よほど運が悪いのか、何かに呪われているのか?
それからしばらくして、ベルグリフのもとをセレンの姉で伯爵家の次女であるサーシャが訪ねてくる。サーシャもAAランクの冒険者だ。流れで、ベルグリフはサーシャに指南のための試合をすることとなる。
実は、ベルグリフは若くして引退したためランクはEだが、実力はAAランクのサーシャを圧倒するくらいだ。しかし、試合のあと、サーシャは完全にベルグリフに心酔したようである。結構思い込みの強い性格のようなので、このあと物語に絡んできそうな予感が。
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