コピー&ペーストはよくできの悪い学生が行って問題となっているが、これは、カット&ペースト。一番大きな違いは、前者は元の情報が残っているのに対し、後者では残らないということだ。なんか大したことはないように思えるが、これが鑑定と組み合わされることにより、相手の能力を奪えるということで最強の能力となる。つまり、相手の能力を鑑定して、スキルをカットすることにより奪えるのである。
カットもペーストも対で使わないといけないというものではなく、それぞれ単独で使うことができるのである。だからカットすれば、単に相手の能力を使えないようにできるし、ペーストは、自分自身でなくてもできる。また、ペーストを使うと、例えば足を地面に貼り付けるということもできるのだ。それが何の役に立つのかって? 異世界ものにつきものの戦闘時にはものすごく役に立つのだ。だから仲間や小石にも貼り付けることができるのである。そしていったん小石などに貼り付けたスキルを、改めて仲間に貼り付けるということもできるのである。
さて、内容の方を簡単に紹介しよう。この話も異世界ものの一つだ。主人公はマインという少年。この世界では15歳が成人となり、王都の神殿で神様から最大3つのスキルをもらえる。マインが授かったスキルは「鑑定・全」と「カット&ペースト」というもの。これらを組み合わせると、敵からいくらでもスキルの取り放題になり弱体化できるうえ、自分に貼り付けることによりいくらでも強くなれるのだ。3つという制限もなくなる。この能力を活用し、ついには災害級の魔物であるオークキングまで倒せるようになってしまう。いいスキルを授かったものは身分に関係なく王族の配偶者として招き入れられる。マインもシルフィード第一王女をお嫁さんにし、王族の子孫を残す男子は一夫多妻が認められるので、ギルドの受付嬢で元「聖弓」の二つ名を持つB級冒険者だったアイシャもお嫁さんに。二人ともマインより年上であるが、成人したばかりのマインにぞっこんのようだ。
異世界ものというと、バカ貴族が出てくるのが定番。この話にもクロードというバカ貴族が出てくる。何しろ自分がシルフィードの配偶者になることを信じて疑わないし、国を亡ぼすかもしれないブラックドラゴンの幼体をつかまえ、今度は神獣フェンリルを狙っている。金儲けのためだけに。
一体マインはどれだけ強くなるのか。そしてクロードはどう罰を受けるのか。いろいろ気になる。
☆☆☆☆