私にとっては初めてのスペイン文学ということになるだろうか。昔「カルメン」を読んだことがあり、てっきりこちらが初めてのスペイン文学だと思っていたのだが、調べてみると、確かに舞台はスペインだが、作者のメリメはフランス人のようだ。
私が、スペインで連想するのは、闘牛、フラメンコ、侵略者の国といったところか。しかし、この作品で語り手になるのは、解説や帯によれば、腹話術師らしい。
この短編集は腹話術師が語り手なのだが、(後略)(p188)
スペインで腹話術師がどういった位置づけにあるのかは知らないが、確かに腹話術師と明記してある作品もいくつかある。しかし、この単語が出てこない作品もあるのだ。例えば「僕が願っている死に方」と言う作品は、本文がたった2ページしかないが、語り手の職業に関する記述は見られない。語り手が腹話術師だということが、テキストだけからよく判定できたなと感心する。文学読みなら行間を読めとでもいうのだろうか。それでは私は永久に文学読みにはなれそうもない。
本書に収められているのは12編の短編。40ページを超えるものから、ショートショートといってもいいような2ページものまで、長さはまちまちだ。。読んでいて感じたのは、文学好きなら評価が高いだろうなということ。でも私には合わない。
読んでいて、内容がすらすら頭に入ってこないし、ストーリーのヤマの様なものも感じられない。正直面白さを感じられないのだ。
本の紹介に次のようにあったので、かなりの期待があったのだが、読むとかなり当てが外れた感じだ。あまり幻想的な感じも受けなかったし。
芸術の破壊と再創造をめざすスペイン文学の奇才が綴る〈虚空への新たな跳躍〉を試みる腹話術師の悲しくも可笑しい幻想的連作短編集。
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