文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

かんかん橋をわたって1~3

2024-10-07 11:14:23 | 書評:小説(その他)


 この作品は一口で言うと、姑の陰湿な嫁いびりを描いたものだ。

 舞台は、桃坂町という架空の街。そこは桃太郎側とその支流の山瀬川によって川東(かわっと)、川南(かーなみ)、山背の三つの地域に分けられていた。かんかん橋は正式には桃坂橋というようだが、川東と川南を繋ぐ橋である。

 主人公は渋沢萌という女性。かんかん橋を渡って夫の早菜男に川南から川東に嫁いで来た。最初は姑の不二子を、美人で頭がよくて優しいと思っていた。実は不二子は、「川東いちのおこんじょう」と呼ばれる陰湿な姑だった。「おこんじょう」とは「いじわる」と言った意味で、その二つ名の通り、陰湿ないやがらせを萌に行う。しかし、町の一地区いちといわれても「微妙だな・・・」という感じだ。どうせなら世界一せめて日本一を目指さんかい。まあ、そのくらいになれば犯罪になってしまうかもしれないが。

 そして呆れたことに川東には「嫁姑番付」というのがあり、渋沢家は4位らしい。「嫁姑番付」というのは、いかに姑による嫁いびりがひどいかを順番づけたもののようだ。しかし、不二子はどう見ても美人で頭がよくて優しいとは思えない。むしろ意地悪さが顔に出ており、先行きを感じさせる。この辺りは漫画家はよく描いている。

 川東の姑たちの小狡いところは、「嫁姑番付」というのは川南の話だと男たちに信じ込ませていることだろう。それは萌の夫の早菜男さえも。要するに川東の男たちはアホばかりなのだ。

 桃坂町のある県ははっきり描かれていないが、「おこんじょう」という言い方と萌の「からっ風育ちの女」という発言から群馬県ではないかと思われる。

 作品からは昭和の香りがプンプンする。いまどき、そんなに嫁姑の同居率は高くないだろうし、不二子のやっているいじめは夫にはっきり言うはずである。そこで別居するならいいが、もし夫が姑をかばうようなら十分な離婚理由になると思う。今なら証拠を残す方法はいくらでもあるし。
☆☆☆☆

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