この作品は、架空の市であるみのり市にある某高校(高校名不明)の地域活性研究部に所属する女子高生5人(なぜか顧問も含めて女子しかいない?もしかすると女子高?)が、顧問の峯岸先生と、街の活性化についてコミカルに話し合い、問題点を掘り下げていこうと言うもの。
この中で驚くべきことが示される。「中心市街地の活性化に関する法律」により、色々な地方で様々な目標達成のための計画が作られているが、なんと、各地域の立てた44の基本計画のうち目標を達成した計画はゼロだったというのだ。
この原因は色々考えられるが、お役人の常として、見栄えのいい(けど実現困難)ものを並べたということも考えられるが、市街中心地はどこかということも大きいだろう。
本書で指摘しているように地方の中心市街地は時代と共に変化しているのである。交通の手段が、徒歩⇒舟⇒鉄道⇒マイカーと変遷するとともに中心市街地も変わってきた。そう今はマイカーの時代なのである。地方での生活は車がないと成り立たない。そして、モータリゼーションの進展とともに、鉄道に乗る人は減り、駅前も寂れてきた。
しかし、高齢化が進み、一人暮らしの高齢者が増えて、年齢によりマイカーが運転できない人が増えたときどうなるか恐ろしい。もしかすると、その時再び駅前が栄えることを狙っているのだろうか。
昔駅前の繁栄を覚えている層には、本書で指摘するように、「駅前こそ中心市街地であり、中心市街地はいつも活気に溢れていなくてはならない」という幻想にとらわれているのだ。
一冊一冊は短く、コミカルながら、なかなか鋭いところをついていると思う。まあ、一番の原因は、地方に暮らす人が減っているということがあると思うのだが。本当は国が本気を出して地方の活性化を勧めねばならない。地元に住んだこともない二世議員に投票する人間が多いようでは、地方の活性化はおぼつかないだろう。そのうち、国会議員はみんな東京生まれの東京育ち(もしくはその周辺)ということになりかねない。
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