文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:虚構推理 7

2017-12-18 08:24:02 | 書評:小説(その他)
虚構推理(7) (月刊少年マガジンコミックス)
クリエーター情報なし
講談社

・(原作)城平京、(漫画)片瀬茶柴

 「ひとつ目いっぽん足のおひいさま」と妖や幽霊たちから慕われる岩永琴子という少女と、妖怪くだんと人魚を食べたために、不死身で未来を見ることができる桜川九郎のコンビが活躍するシリーズの最新刊。

 前6巻までで、原作小説の内容は終わってしまっていたのだが、この巻は、漫画にすることを前提に書き下ろした短編小説を原作としているらしい。

 もちろんこのコミカライズ版の方も短編集となっており、収録されているのは以下の3話。

・よく行く店
 二人が行きつけの喫茶店の話。九郎は、元カノとよく来ていたらしいが、その事が琴子には気に食わない。

・ヌシの大蛇は聞いていた
 琴子が沼に住む大蛇からの依頼で謎を解決する話。琴子は九郎から豚汁を持たされて送り出される。

・うなぎ屋の幸運日
 琴子がたまたま昼食を食べに来たうなぎ屋で出くわした男たちの話。そこでは、かなり不穏なことが話されていた。

 収録されている話は、主に琴子が動いているエピソード集のような感じだ。一応九郎も出るには出ているのだが、前巻のラストで、「でもお前は花より綺麗だから僕はどこにも返していないだろう」と言っていた割には、琴子に対する扱いがひどい。最初の話では、琴子にアイアンクロー(ちょっと、懐かしいかもw)をかましているし、二番目の話では、昼つくった豚汁を食べないといけないからと、琴子が大蛇のところに行くのについて行かなかったのだ。

 一方、琴子の方も間違いなく良家の令嬢のはずなのだが、九郎と温泉に行きたがる目的が「秘宝館」だったり、うなぎ屋によった理由が、今夜は九郎のところに泊まるので精を付けておくためだったりとなんともぶっ飛んでいる。

 そうはいっても、二人のやり取りは、とっても面白い。正に夫婦漫才と言った感じで、案外とうまくいっているようである。この物語は、嬉しいことに、まだまだこの後も続くようなので、これからの展開がどうなるのかとても楽しみである。

 ところで、初回限定の特典として「七瀬かりんデビューCD販促用風ミニポスター」が付いていた。七瀬かりんとは、前巻までに登場した怪異「鋼人七瀬」の基になった人物である。コミックス版には、作中話もあったが、ぜひ「青春火吹き娘」をスピンオフ作品として発表して欲しいものである。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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