文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:女王のジレンマ

2017-12-20 21:49:37 | 書評:小説(SF/ファンタジー)
女王のジレンマ (フェアリーテイル) (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社

・シャンナ・スウェンドソン、(訳)小泉敦子

 本書は、「魔法製作所」シリーズで知られるシャンナ・スウェンドソンによる新シリーズの第二弾だ。これは、人間でありながら、妖精の女王の血を引いているために、妖精界の女王になったソフィ・ドレイクの物語である。

 前作では女王の座を巡る騒動があったようだが、この巻の話も一言でいえば、女王の座を巡っての争いだ。なにしろソフィは、妖精界の女王でありながら、人間界でもバレエ教師をやっているのである。いわばパートタイマー女王なのだ。おまけに、家ではアルツハイマーの末期である祖母の介護もやっている。これでは女王業なんてとても無理。

 案の定、妖精界では不穏な動きが起る。偽女王が表れ、妖精界にいる人間や女王に忠誠を誓わない妖精を人間界に追放しているのである。

 どこかの子会社だったら、たまに社長が非常勤なんてこともあるが、さすがに女王が非常勤だと、ちょっとまずいだろう。

 おまけにソフィーは刑事のマイケルにホの字(古いか)である。実は、彼の妻のジェニファーは7年前に、ソフィの妹のエミリーと間違えられて妖精に攫われ、未だに妖精界にいるのだ。マイケルは、彼女を人間界に連れ戻したがっている。彼女をどうやって人間界に連れ戻すかというのもこの巻の大きなテーマなのだが、彼の願いをかなえれば、ソフィはもちろん失恋のブロークンハート。

 ソフィは、こういった諸々の事情を抱えている訳だが、最後にはそれらに一応のケリがついた感じだ。前作の知識があった方がより楽しめるようだが、この巻だけ読んでも、結構面白かった。

☆☆☆

※初出は、「本が好き!」です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 書評:虚構推理 7 | トップ | 再発防止に研修は役立たない »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

書評:小説(SF/ファンタジー)」カテゴリの最新記事