文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:バレンタインは雪あそび

2013-11-06 06:54:07 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
バレンタインは雪あそび (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社


 レスリー・メイヤーによるコージーミステリー、主婦探偵ルーシー・ストーンシリーズの5作目に当たる「バレンタインは雪あそび」(東京創元社)。

 主婦業の他に地元の新聞の臨時記者をこなすなど大活躍のルーシーだが、今回はそれに加えて図書館の理事まで引き受けてしまう。ところが、初めての理事会の日に、図書館司書のビッツィが殺害されてしまった。更には理事の一人だったヘイデンが亡くなる。警察は、彼の死を、拳銃自殺と見なしていた。

 好奇心いっぱいのルーシーだが、二人の人物から事件に首を突っ込まないように言われてしまう。一人は、事件の捜査を担当する州警察のホロヴィッツ。もう一人は、夫のビルだ。ただし、理由はそれぞれ違う。ホロヴィッツは、自分の能力は棚に上げて、やたらプライドだけは高いので、素人には首を突っ込んでもらいたくないようだ。夫のビルの方は、最愛の妻に何かあったら耐えられないという理由からだ。二人はラブラブなのである。

 そうはいっても、そこがルーシーの主婦探偵たるところ。事件の方から、勝手にルーシーの方に関わってくるかのようだ。結局は、どっぷりと事件に首を突っ込んでしまうことになる。

 ところで、作者は、この作品中に、ちょっとした言葉遊びを織り込んでいることに気がついた。図書館に陳列されている歴史もののピューター(Pewter:しろめ)製タンカード(大ジョッキ)と、ルーシーの子供たちが夢中になっているコンピューター(computer)。それぞれ、古いものと新しいものを象徴するようなアイテムとして作品中に登場するのだが、うまい具合に音韻を合わせている。

 プライドばかり高くて無能な捜査官のホロヴィッツと、名探偵より迷探偵に近いルーシーの対決。果たして事件の顛末はいかに。

※本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。


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