![]() | 虚構推理 コミック1-6巻 セット |
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・(漫画)片瀬茶柴、(原作)城平京
本書は、城平京による同名小説のコミカライズ版にあたる。ヒロインは、「ひとつ目いっぽん足のおひいさま」と妖や幽霊たちからアイドルのように人気の、岩永琴子という少女だ。その名の通り、右目は義眼、左足は義足である。彼女は、11歳の時に妖たちに攫われて、彼らの知恵の神になってくれと頼まれた。知恵の神になるためには、ひとつ目一本足でなければならない。琴子は妖たちの知恵の神になったために、右目と左足を失ったのだ。
かってこれほどの異形を抱えたヒロインがあっただろうか。でもその姿は、とっても可愛らしい美少女なのだ。義眼も義足も彼女にはまったくハンデにはなっていないし、知恵の神というくらいだから頭も切れる。ただし、ヘタをすれば中学生扱いされるくらいにちっこいことだけは、コンプレックスになっているようである。でも、正真正銘のお嬢様で、結婚すれば、もれなく土地家屋などの資産付、就職の世話もできるらしい。
そんな彼女が定期的に通っている病院で出会ったのが、桜川九郎という青年。琴子は、九郎に一目ぼれするのだが、残念なことに、彼には年上の同じ大学に通う弓原 紗季という彼女がいた。ところが、ある事件がきっかけで九郎は、紗季と別れてしまう。それを知った琴子は、見境なしに主人公に求愛するようになるのだが、それがなんとも面白いのだ。
実は、九郎は、未来視のできる「くだん」という妖怪と、不老不死になる「人魚」の肉を食べさせられたために、この二つの能力を備えている。ただし、未来を視るためには、一度死ななくてはならないというちょっと厄介な力だ。妖怪の肉を食べたために、九郎は妖たちの目には、とても恐ろしい姿に映るようである。でも琴子にとってはイケメンの部類に入るらしい。この作品は、九郎と琴子の二人が怪異に挑むというものである。
1~6巻までで二人が挑むのが「鋼人七瀬」という怪異。鉄骨の直撃事故で、顔がつぶされて死んだアイドル七瀬かりんが、顔のない亡霊となって現れ、手にした鉄骨で人を襲うというのだ。二人は、警察官になった九郎の元カノの紗季といっしょに、この事件に挑むのだが、タイトルの「虚構推理」というのは、この「鋼人七瀬」との対決のやり方から来ているのだろう。この場面は、まさに作品のクライマックスといってもいいのだが、本当にすごい。
エピローグでの、九郎のセリフがなんともいい。
「不死身の僕とともにいるのはコノハナサクヤヒメじゃなくてイワナガヒメじゃないといけないと」と言う九郎に、「イワナガヒメはぶさいくだったから家に返されたんですよ」とちょっとおかんむりの琴子。これに対して九郎は、「でもお前は花より綺麗だから僕はどこにも返していないだろう」だって。
☆☆☆☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。