曇り、18度、90%
この年になって、今更のようにものを見ることが、難しいことだと感じています。私が小さい頃の通信簿には、所見の欄に観察力というのがあり、3段階で評価されていました。観察力なんて何に役に立つのか、観察力と言えば朝顔の観察ぐらいしか思いの行かない子供でした。
決して持ち物が多くない私です。家も、家人と二人で充分な手頃な大きさです。そんな私の、持ち物、時によく見ると今まで気付かなかったことを発見します。
イムサエムさんの焼き物は食器から、こうした花器まで幾つか持っています。人柄は顔に出ると言いますが、ほんの数秒言葉を交わしただけのイムさんは、いい笑顔でした。ものを増やさないと決めて、新しい物をとんと頂かなくなりました。この花器も、随分以前のものです。いつも外に出ているわけではなく、気分によって箱から出してきます。
見出し写真と同じ花器ですが、初めて表と裏の絵に違いがあるのに気付きました。 胴回りには、刻紋、少し彫られた後がありそこにかかる呉須の色が、いい感じです。この花器の時は、呉須も赤もしっかりとした色です。高さ、20センチ足らず。使い易い大きさです。
この写真を撮るためにバインダーを覗き込んで、あれ、これにも耳が付いていると気付きました。耳付きの花器、耳の大きさ、形で雰囲気がガラッと変わります。この花器は、壁にかけれるように裏にフックが付いています。香港のマンションは、天井も床も壁も全てコンクリート、木の部分なんてありません。壁に掛けていて、落ちれば粉々です。それで、掛けないまま使っています。
それぞれ一点ものでしたが、この壁掛けの方は、少し色合いの違うものがあったように記憶します。これを頂いたある展示会、いろいろな陶芸作家の方の花器に、川瀬敏郎さんが花を入れていました。この花器には、蔦ものがヒョロッと生けられていました。きっと、川瀬さんが使われた花器なので、私頂いたように思います。持ち帰れずに、展示会が終わって香港に送られてきました。高さ10センチ強。口が広いので、時に収まりが悪いのですが、刻紋、裾の面取りと手が込んでいます。
バインダーを覗く作業は、意外にものをしっかり見るのには適しているようです。今、持っているものを、正面から見るような生活を送りたいものです。