曇り、29度、89%
2週間程前のことです、中国のシンセンにほど近い香港の一帯で日本脳炎の患者が次々に見つかりました。日本脳炎と呼ばれていますが、東南アジアの蚊の出る一帯は、夏になるとテグン熱、日本脳炎と蚊が媒体する病気が蔓延します。広東語のニュースの字幕は、日本語と同じく「日本脳炎」、英語のニュースでは、「Japanase encephalitis」といいます。紛れもなく、病名に日本と付くのです。
日本脳炎で重症とかニュースで流れる度に、私が悪いわけでもないのに済まないような肩身の狭い思いをします。なんで日本脳炎と名付けてのかと思い調べたところ、死に至る脳炎の中から、アカイエ蚊が媒介する種類の脳炎を識別したのが、日本の研究チームだったからだそうです。日本にいるとき、日本脳炎と聞いても病名と受け取っていたものを、海外にいると何やら日本が悪いことをしているようで、実に奇妙な感覚を覚えます。
冬場日本に帰国しているとき、ニュースで今年のインフルエンザは香港A型です、と流れます。すると、これがまたおかしなもので、その場に誰が居ようと居まいと、自分が香港から持って来たわけでもないのになすまない気持ちになります。香港型と名の付くインフルエンザは、香港で過去に大流行したウィルスで識別されています。これだって、香港が悪いわけではありません。
そろそろ私の年齢の半分近くを、この香港で過ごしたことになります。しっかり日本人の私ですが、日本脳炎、香港型インフルエンザ、の言葉に反応する私の意識には、これまた、半分半分で日本と香港への愛着があるようです。