晴れ、27度、86%
主人の仕事の関係で、何かとお客様が多い我が家です。お見えになる方々、皆さん、長く日本を離れている私たち夫婦を気遣って、お土産をお持ちくださいます。この香港、近年、日本のものはほとんど揃います。きっとお土産を考えてくださる方も、これは一仕事に違いありません。そして、日本にいては、かえって手に入らないようなものを頂くことがあります。
東京の吉祥寺にある小ざさというお店の羊羹、 私は初めて耳にするお店の名前です。さて、ここの羊羹は昔から手間暇かけて、何度もあんを晒して作るので出来るのも少量、有名なお店だったそうです。羊羹を買い求めるために、朝の6時に店の前に並び整理券をもらって、一旦家に帰り、その後買いに行って求めていたのだそうです。ところが、最近テレビで2度ほどこのお店が紹介されてからは、朝の4時から整理券をもらうための行列ができるようになったとか。もちろん、本数だって制限付き。朝の4時から並び、6時に整理券が渡されても、已然羊羹は出来ていないので、家に帰るのだそうです。実にこれほどの労力をかけて手に入れる羊羹、ちょうだいして家に帰るや、興味津々で封を切りました。
普通のあずきの羊羹です。自分でも晒あんを作るので解りますが、あんを晒せばさらすほど、あんの量はどんどん減ります。そしてあんの色も白っぽく変わって行きます。少なくなった晒あんを炭火で、しかも小鍋で練り上げて作るのだと、書かれています。
確かに、色は黒々とはしていない羊羹、すっと包丁が通りそうに思っていましたが、意外にも堅いのです。小振りの棹で、甘みの少ない口溶けのよい羊羹という私の想像は、全く外れてしまいました。しっかりとした甘み、これまたしっかりとした歯ごたえ、晒されて晒されたにもかかわらず、 口に含むと、ふっと小豆が匂います。
羊羹を作るのに寒天は欠かせませんが、きっとこの寒天の量が少ないのでしょう。甘みが少ないと、品がいいと言う傾向がありますが、これほど甘みがしっかりしていても、くどさが残らない、これがここ小ざさの羊羹のおいしさの秘訣だと思います。おごちそうさまです。