晴れ、27度、84%
まだ、息子が小さかった頃住んでいた街の絵が描かれたクッキーの空き缶があります。このクッキーは、ひょんなことから頂いたものです。 当時住んでいた家の道を挟んで斜め前の家には、息子よりひとつ年上の男の子がいました。幼稚園も、小学校もひとつ上。プールだけは同じ時に始めたので一緒のクラスでした。まだ、二人が幼稚園に通っていた頃、ちょうど夏休みだったと思います。夜も9時を回った頃、斜め前の家からお母さんが怒る声と一緒に、子供が泣き叫ぶ声がしました。続いて、ドアが閉まる音。静かな街でしたから、すっかり聞こえてしまいます。斜め前の家から我が家の門にかけて緩い坂になっていました。その坂を泣きじゃくって上がってくる子供のの様子があります。お母さんに出て行けといわれ、我が家にやって来たのです。主人とも相談して、その晩は泊めますから、と電話を入れました。翌日、昼前にお迎えに見えたそのお母さんから頂いたクッキーです。
クッキーのお味なんて、覚えていません。ただただ、早く空き缶にしたかったのです。空いたこの缶には、もう30年近くも リボンがびっしり入っています。プレゼントの箱にかかっていたものから、目につくと買い溜めてあるものから、お店で袋についていたものまで。木綿のしっかりしたものは、アイロンをかけてなおします。最近の化繊で出来たリボンは、あまり好きになれません。
過剰包装はよくない、とは思うのですが、頂き物にリボンがかかっているととても嬉しくなります。これが水引ではダメです。やっぱりリボン。ふんわりと太めの柔らかなリボンもが箱にかかるのも、字が書かれた細めのリボンがきゅっと締められている様も好きです。
とってあるリボンは、もちろん好きなものだけ。缶の中を見ると解るように、好きなリボンは焦げ茶やブルーが多いようです。リボンといえば赤と思いがちですが、その赤だっていろんな色があります。確かに豪華なのは赤のリボンです。茶やブルーのリボンは、包装紙とのコントラストで、それはシックな感じがします。袋に付けてくれるお店のリボンも、馴染みのお店では、もうちょっとちょうだい、と厚かましくおねだりしてしまいます。
使うつもりのリボンですが、どうしても取って置きたいリボンもあります。もう少し長めに買っておけばよかったなと思うリボン、そうそう、香港ではリボンを売っている店などほとんどありません。あっても、どうもねえと思うようなものばかり。
小さいとき、短い髪にリボンを結んでくれと母に頼みました。そのとき母が買って来たチェックの色違いのリボン、あんな素敵なリボンを探しています。