雨、27度、94% シグナル8
香港にシグナル8の強風注意報が夜中発令されました。台風ウトアに因るものです。台風が近づいてくるに連れて、このシグネルが数字をあげて行きます。初めが1、次が3そして8、その次が10という具合です。何故数字が飛んでいるのか、25年経った今も不思議です。ただ、以前と違ってこのシグナル風の強さによってのみ出されます。雨量の多さは、別のシグナル、雲マークで表されます。黄色雲、赤雲、黒雲。今回、雲マークが出ていないところを見るとこのウトアさん、風台風のようです。現にフィリッピンでかなりの被害を出した後、こちらに向かうシグナル3の時でさえ、時折ゴーッと荒ましい音がしていました。
シグナル3の時は子供、お年寄りの外出は差し控えた方がいいのですが、街はいたって正常に動きます。ところが、このシグナル8が出た途端、一変します。離島へのフェリーは一切出ません。もちろん飛行機も飛びません。バスも電車も2階建てです。風で煽られるので、運行しません。動いていても間引き運転です。近年、やっと、地下鉄だけは間隔が長くなるものの動いてくれます。タクシーだって、何か事故があれば(例えば、大きな看板が飛んで来たり)自己責任ですからほとんど動いていません。
香港の顔、証券取引所もお休みになります。銀行だって閉まっています。デパートや大きな商業ビルも開きません。今は夏休みですが、学校も一斉に休校です。開いているのは、個人や家族でやっているお店です。
さて、香港のもう一つの顔が、観光地。夏休みで、旅行に来ている観光客にとってこれほど迷惑なものはないでしょう。どこにも行けない、ホテルでじっとしていなくてはなりません。ことによっては飛行場で一泊、なんて事にもなりかねません。
仮に一日大きなデパートが閉まれば、経営上大きな痛手を受けます。ですから、シグナル8を出す時は実に慎重です。しかも、交通機関が止まるので、自宅に帰る人たちのために、早い時間からシグナル8が出ることを、ラジオ、テレビが知らせます。大きなビルや地下鉄の駅の至る所に、シグナルの立て看板も出ます。
今までに、シグナル10や11を経験したことがあります。香港の高層ビルの壁面が硝子で出来ていると、強風で割れて地上にまで落ちて来ます。きちんと閉められていない窓を強風があおって、窓枠ごとはずれて飛んでいるのも見たことがあります。香港名物の大きな看板だって、時には飛んでしまいます。傘なんて何の役のもたちません。街路樹は、同じ方向になぎ倒されます。高層ビルの建築現場では、屋上に据え付けたクレーン車が落ちては大変ですから、強力な固定をするそうですが、見ていると風でユラユラしています。
いつ解除されるか解らないシグネル8のために仕事もお休みになった人たちは、暑い夏の休養をとっていることでしょう。
昨日、まだシグナルが3の頃から風の強さが気になっていました。昼過ぎには早々に、出窓にある植木鉢を来客用のバスルームに避難させました。大きなローリエなどは窓辺に寄せて固定します。折角ここまで育った緑たちがあっという間に惨めな姿になるのは、耐えられません。そのうえ、我が家のモモさん、こんな天候でもお外でトイレをしたがります。雨が大降りなら、さすがに引き返しますが、小振りなら濡れるのも何のその、意気揚々とお出かけです。いつもより1時間ばかり遅く、先程、散歩から帰宅しました。連れて行く私、何が飛んで来るか解りませんから、辺りに注意を払いながらです。夕方の散歩までに、シグナルが3に戻ってくれるといいね、モモさん。