雨、15度、94%
もうすぐ34歳になる我が家のお手伝いさんがこの月曜日結婚しました。タイのチェンマイの出身、彼女が我が家に来てくれるようになったのは7年前のことです。主人の出張に付いて行かなくてはならないことがあります。ヨーロッパなどまで行けば1週間も家を空けることになります。その間、モモさんを安心して家にいながら見てくれる人を捜していました。香港はフィリッピン、インドネシアのお手伝いさんが主流です。数少ないタイのお手伝いさんをと言い出したのは主人、仏教国のお国柄を見込んでのことです。
彼女はちょっと複雑な家庭事情があります。2歳の時に両親は離婚します。お母さんはその後香港人男性と再婚、お父さんも別の人と再婚。父方のおばあさんに育てられたのだそうです。大学を出て教員の資格も持っていますが、タイで働くのよりはずっと香港でお手伝いさんをする方が収入がいいのだそうです。そこで、実の母親を頼って香港に来ました。
私達が留守のときだけモモさんの世話をしに来てもらうことは出来ません。そこで定期的に掃除を頼みました。掃除、何でもないことのように思いましたがこれが覚えもらうまでは大変でした。お雑巾、台ふきん、おふきんの区別に始まって、掃除機のゴミの捨て方、ものの畳み方、アイロンの掛け方、もう、自分がした方がいいと思うくらいです。それでも、彼女はモモさんを大事にしてくれます。
来た当初から、結婚をしたいとは言っていました。お母さんのように香港人男性をと考えているのかと思えば、びっくりしたことに白人男性、しかも再婚でもいいから年上がいいと言います。私がビックリしたのは言うまでもありません。彼女の友人などで、年長の白人男性と結婚して裕福な生活をしているのを目の当たりにしていたからでしょう。結婚観というのもひと様々です。
時にお茶を飲みながら、いろんな話をします。辛いことがあったときも、私の胸で泣きました。嬉しいこともすぐに知らせてくれます。彼女が付き合っている人も写真を見せてくれます。みんな白人の年上の人ばかりでした。そして、最後に結婚とまで言ってくれたのは、ドイツ人の50歳の男性です。
昨年のクリスマスからニューイヤーにかけて、彼女はドイツの彼の両親の元を訪ねました。言葉も通じないのにあちらのご両親に気に入られたようです。分かります。確かにいい子です。そしてこの月曜日、結婚届を出したのだと言います。嬉しいのとホッとした気持ちで一杯です。
料理もあまりうまくありません。タイ料理を教えてもらえると喜んだのは束の間、タイに行けば分かりますが、小さな屋台で食事を済ませる事ができます。料理が出来なくても生きていけます。今だに、表と裏の区別がつきません。私が家を空けて帰って来ると、主人のハンカチは表と裏逆さまでアイロンがかけられています。もっとびっくりしたのは、ベットメイキングをしてくれた後、見るとお布団、キルトが縦横が逆さまです。置いてあるものを動かしてその後ろも掃除をする、やっと最近何も言わなくても動かしています。いろんな物を壊してくれました。あるとき家に戻ると、バスルームのトイレの管が敗れて水が吹き出していました。力任せにモップをかけますから、調節ねじが飛んだのだそうです。
主人と私が留守のときは、モモさんは彼女と一緒に休みます。私たちにとって、それは一番の安心です。
結婚しましたが、まだ我が家に通って来てくれます。おめでとう。