小雨、14度、92%
去年の秋口のことです。日本の友人から小包が届きました。封筒の表にはいつも珍しい記念切手を沢山貼って送ってくれます。ポストを覗いただけで彼女からと分かります。
中からでて来たのは、神戸のフロインドリーブのカタログでした。フロインドリーブ、ドイツのお菓子やパンを永く作っているお店です。東京にもフロインドリーブはありますが、元々は神戸が本店のようです。まだ訪れたことのない神戸です。
このカタログ、お店で作られている全部の商品の写真と説明付き。小さなケベック、クッキーも一つ一つ名前と一緒に写真が載っています。ティーケーキにドイツパン。アメリカ、フランスのパンやケーキのように華やかではありませんが、ドイツらしい質実としたお菓子達です。形も素朴、気をてらったお菓子やパンではありません。
東京に住んでいた頃、家の近くに「ジャーマンベイカリー」というドイツのお菓子屋さんがありました。その頃はフランス人が作っているお菓子屋さんなんて、「ルコント」ぐらいしかなかったのではと思います。そして、ドイツやウィーンのお菓子を作る店が今よりもありました。友人のカタログをめくりながら、「ジャーマンベイカリー」の猫の舌というの名のリーフパイを思い出します。ここ香港はドイツのお菓子なんて滅多にお目にかかりません。日本と同じく今やフランスの誰それのお菓子屋さんが全盛です。
このカタログ、何度も何度も見ています。お菓子のカタログばかりかカタログが好きです。毛糸や刺繍糸のカタログ、照明器具のカタログ、香辛料のカタログ、引っ張り出して来たらかなりの数のカタログがあります。見てるだけで、どんどん夢が膨らみます。お菓子なんて香りまで漂って来るようです。
実はこのフロインドリーブのカタログは、20年以上も前のものです。友人の実家の整理の時にでて来たものに違いありません。それにしてもこのカタログを私に送ろうと思ってくれた友人、どうして私がカタログ好きだと分かったのかしら、不思議です。今初めてカタログ好きだと白状しました。おそらく、主人は薄々感じているはずです。
このカタログはお菓子やパンばかりか、もう一つ私を想像の世界に連れて行ってくれます。20年もの間このカタログが眠っていた彼女のご実家の様子です。ご家族の中で私のようにカタログ好きな方がいらしてお家に持って帰ったのではと思います。どんな本の間に挟まっていたのかな、きれいな状態のままです。
カタログをめくりながら、色々思いめぐらしながら、今度はこんなものを作ってみたいと気持ちが高ぶります。