チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

海側の窓 山側の窓

2016年01月14日 | 日々のこと

曇、15度、80%

 香港,1月に入って雨の多い日が続きます。かなりの量の雨です。この時期,雨が降るといってもこんなに降ったことはありませんでした。しかも暖冬です。昨日は珍しく晴れ上がりました。午後には湿度もぐっと低くなりました。久しぶりに窓を全開です。

 香港島の北側斜面にへばりつくようにして住んでいる我が家,ありがたいことに,南の窓からは香港の太平山、北の窓からは小さくビクトリア湾が見えています。

  山側の景色は,この15年ちっとも変わっていません。ガスの多い日には,山は姿を隠します。夜ともなれば,この太平山の頂きはピークといって観光地ですので,山頂を廻る道沿いの街灯が灯ります。ポツンポツンと灯る街灯,そしてこの道から香港の夜景を撮影する人たちのカメラのフラッシュがチカチカと見えます。昼間はいたって穏やかな山側の風景です。夏場の大雨の後は,岩の山肌を白い水しぶきを上げながらまるで川の様に流れ落ちる水の流れが見られます。春先から秋口まで早朝には亜熱帯の鳥の鳴き声が聞こえるのもこの窓からです。景色に鳥の鳴き声、山の静かな匂いがおりて来るのは朝早く。夕方ともなれば,マンションの台所の窓は全部こちら側なので、家々の夕飯の匂いがします。日本のカレーやお魚の煮付けの匂いではありません。中華の煮物に中華の炒めものです。台所から聞こえて来る音で無くなってしまった音があります。中華包丁とまな板の音。香港、ひき肉をひき肉として売っていませんでした。肉を買って、挽いてもらう。もしくは家であの大きな中華包丁の重さに任せて叩き肉を作っていました。トントントン,木のまな板に響くあの音は今では聞くことがありません。スーパーにひき肉を売っていますので。

 海側の景色は変わりました。高いビルが次々に建ちます。おかげで我が家から見えるビクトリア湾は小さく小さくなりました。以前は,朝食をとりながらビクトリア湾を渡るスターフェリーの始発が出るのを楽しみに見ていたことを思い出します。年に数回あがる花火が見えるのもこの窓からです。ビクトリア湾中央に花火をあげる船が並びます。湾を巡る香港島と九龍サイドどちらからも愉しめる香港の花火です。海側は,見ての通りの高層ビル,朝と夜とでは匂いが違います。海は随分離れていますので,海の匂いはしません。早朝は下の道を通る車の音もなく、都会にいるのを忘れるような清々しい空気です。ところが一旦人間が動き出すと町の匂いに変わります。町の匂い,下のSOHOと呼ばれる飲食街から上って来る夜の匂いは,まさにその町の匂いです。食べ物そのままの匂いではありません。人を歓楽に誘い込むような甘い匂いです。昼間は車の音がひっきりなし、車の音が聞こえているのが当たり前ですので,もう意識すらありません。

 そして、時折おかしな現象が見られます。山側の窓からは雨が降っているのが見られるのに、海側の窓からは雨なんて降っていません。部屋の真ん中に立って,両方の窓からの雨を見比べます。年に一度は見ることが出来る珍現象です。

 結婚して39年目に入る私達夫婦が一番永く住んだ家です。16年の間のこの景色がこの匂いがすっかり身に染み付いてしまいました。

 

コメント
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