晴、4度、71%
昨日の昼過ぎです、携帯が鳴りました。取ると、義母の家の隣のおじさんからです。「ヘルパーさんが来てるけど、お母さんいないようなので、そっちに行ってる?」と聞かれます。裏の雨戸も閉まったままだそうです。電話を切り、急ぎ義母の携帯と自宅に電話しますが出て来ません。義母の家の鍵を握って車に飛び乗りました。途中また、隣のおじさんから電話です。「おまわりさんも来て待っているから、急いでよ。」異常があるには違いありませんが、ヘルパーさんがおまわりさんを呼んだようです。悪い想像ばかりが頭を回ります。
義母の家に着くと、幾人かの人が木戸の前にいます。おまわりさん二人は、2重手袋にビニールカバー付きの靴を履いています。木戸は裏から入りすでに開けられていました。玄関を鍵で開けてくださいと言われます。私の心臓は音がするかと思うほどドキドキしています。玄関は中からチェーンがかかっていました。おまわりさんは「壊しますよ。」と私の承諾をとって一気にドアを開けました。「下川さん。」とおまわりさん。「お母さん。」と私が声をかけながら家に入りました。玄関を上がるとかすかに声らしきものが聞こえます。薄暗い家の中、寝室と居間の境に大きな塊が見えました。電気をつけると、パジャマのままの義母が横倒れになり布団をかぶっています。細い声ですが応対もできます。ホッとしたものの、顔はむくみ体が動かせません。
おまわりさんが水を飲ませようとしますが腰を痛がります。救急車を呼ぶことにしました。救急隊員の人は即座に様子を見て行く病院を探します。その間私はおまわりさん、救急隊の人に日頃の状態など聞かれることに答えていました。気は動転していませんが、矢継ぎ早の質問責めに頭の中がポッと白くなります。母は救急隊の人が来た頃には、十分話ができるようになりました。救急車が先に出発。私は義母の身の回りのものをまとめて、指定された病院に向かいました。
この間20分ほどだと思います。私が義母の家に着いた時、おまわりさんはまるで私も容疑者扱いです。万が一事件の可能性もあるからだと思います。義母が大丈夫なのを確認すると態度が一変しました。不慣れな義母の家の中、持って行くものを探す私に手を貸してくれます。私の車は路上に止めたままですが、狭い道幅、行き交う車の交通整理もしてくれました。病院に向かう車に乗る前に、「お世話になりました。お二人のおかげで気持ちが支えられました。一人で家に入る勇気はありませんでしたので。」と申し上げると、「落ち着いて病院に向かってください。」と頭を下げられました。
土曜の午後です。当直の先生のレントゲンによる診断では、「大腿骨骨折」と言われました。早速入院です。今後の治療方針は月曜日に専門の医師と面会の上決めることになりました。
二人のおまわりさん、三人の救急車の隊員の方、みなさんお仕事柄とはいえ、心ある対応を取ってくださいました。想像していた最悪の事態は避けられました。夜中に暗がりで起きた義母は小さな段差につまずいて転んだようです。やっとの思いで布団を引き摺り下ろして、夜を明かしたのだそうです。老人の一人暮らしの限界を考えさせられます。とりあえず今日は入院手続き、明日は今後を決めなくてはなりません。私の病院通いが始まりました。