晴、27度、80%
父が逝ってすぐに母は車の運転を辞めました。事故でもあって母が逝ってしまえば私が天涯孤独になるのを避けたかったからだと思います。母と行く父のお墓参りは44年間バスを使いました。我が家から6キロほどの距離を30分かけて行きます。
昨日は母が逝って6年目、7回忌に当たります。お墓参りとお経を上げていただくためにお寺に向かいました。前日から久しぶりに母といつもした様にバスを使おうと決めていました。福岡でバスをほとんど使いません。まるで旅行にでも行った様な気分でシートに腰掛けました。よく通る道なのにまるで違って見えます。いちばんの繁華街を抜けますので6キロの距離でも時間がかかります。
お坊さんにお会いする前に墓地に入りました。周囲に新しい大きなビルの建設が始まっています。この墓地だけがぽっかりと緑を蓄えた空間に思えて不思議な気持ちになりました。お経の後お話をお聞きすると10階以上の大きな商業ビルが建つそうです。
父が生きている時からお墓参りの時はこの付近で食事をしました。父の車はお寺さんに停めたまま、博多の古い商店街に入りました。昨日は久しく来ないその商店街も歩いてみたいと思っていました。山笠が建つ昔からの街です。 旅行客にも有名になったこちらのおうどん屋さんでお昼を取ることもありました。商店街の中にあったおぜんざい屋さんでおぜんざいを食べることもありました。商店街を抜けて今は無くなった中華料理に行くこともありました。商店街の中の店が様変わりしています。新しいレストランや韓国からの観光客を泊めるための小さなホテルや洒落たカフェも出来ています。私が小さな頃は賑やかな商店街でした。この商店街は川に沿って作られています。商店街を抜け昔はチンチン電車が通っていた道に出て、川を渡ります。橋の上に立ち、川上、川下を見ました。海に向かう方の景色は変わりませんが、川上に向けてあった料亭は姿を消してこれもビルに変わっています。
母の7回忌、ゆっくりと心の中の古い福岡の街を母と一緒に回りました。たまにはバスに乗るのもいいものです。