チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

ゴッホの手紙

2019年08月26日 | 

大雨、20度、93%

 「ゴッホの手紙」は岩波文庫がまだ星一つ50円の頃に読んだ本です。ゴッホの絵画集を見ていて気になったことがあったので、改めて読み直そうと本棚を探しますが見つかりません。この家の整理の時に捨ててしまったのだと思います。本屋に新本を買いに行きました。

 ゴッホの書簡集は数出ています。中でも弟テオに宛てたものが読みたいと思いました。半世紀ぶりに読み直す本です。読み始めて内容をすっかり忘れている事に気付きます。この半世紀で当時よりはるかにたくさんのゴッホの絵画を見ました。雪の降る中、アムステルダムのゴッホ美術館にも行きました。行く先々で、また国内の美術展でゴッホの絵を見続けてきました。ゴッホの絵自体も好きですが、わずか37歳でこの世を去ったこの画家に興味があります。おそらく多くの人が私と同じ思いだと思います。絵筆を持つようになったのも、いろいろな仕事をして後の事です。つまり亡くなる前数年で描いた絵を見ているわけです。このテオに宛てた書簡集は丁度その制作時期と重なります。あの耳を切り落とすという精神的に入り乱れた時期も含まれます。

 驚いた事に非常に金銭的な話が多く出てきます。ゴッホの絵は生前たった一枚しか売れなかっと聞いたことがありました。絵の具代、生活費は弟のテオから捻出されたものでした。絵の売り方から月々にかかる費用、最後には「すぐに何フラン送って欲しい。」と結んでいます。

 この書簡集にはその時々の習作のデッサンが挿入されています。その絵を画集で見比べながら読み進めました。実際の絵の前に立った時のことも思い出します。約3日間、画集を広げながらの考え深い時間でした。

 50年経って読み直す本は、まだ若くて生活経験も社会経験もなかった頃に読んだものとは大きく違いました。ゴッホについて読んだにも関わらず、若いとき読んだ本を再び読み返すことの意義を感じました。中学、高校時代、学期の試験が終わると本屋に直行しました。文庫本の本棚の前に立ち試験中から読みたいと思っていた本を探した時の喜びが蘇ってきます。私の本読みの歴史にまた新たな形が生まれつつあります。

コメント
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